2007年6月11日月曜日

最近、大規模障害のニュースが多い気がする Ⅱ

http://itpro।nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070611/274287/
【続報】社保庁のシステム障害、初の日曜対応コードが原因か

ここ最近やいのやいの言われてる社保庁がテンパリぎみにNTTデータの担当者のケツを叩いてソフトの改良を無理無理やらせ、蓋を開けたら障害で全断・・・という夢を見ました。

2007年6月8日金曜日

最近、大規模障害のニュースが多い気がする

http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/ohkawara/2007/06/08/10419.html
全日空のシステム障害などに見る、情報産業とユーザー企業の課題

システムトラブルが社会問題として取り上げられることが多くなったように感じる。みずほ銀行の合併に伴ったシステムトラブルやみずほ証券の誤発注も記憶に新しい。社会基盤としてのITシステムやインフラがその重要度を上げれば上げるほどこの手のトラブルの影響は大きくなるし、報道等で取り上げられる機会も増していくのは当然のことだ。JISAに指摘されるまでもなくユーザー企業もベンダーも費用対効果のトレードオフについて十分な検討が必要なことは百も承知だろう。だが真に的を射た検討を積み重ねるという事が困難きわまりない茨の道であるのも事実だ。
ユーザー企業側も自社システムの導入に対して一枚岩であるわけではない。該当部署やIT、購買など各部署間での温度差や要求の違いがベンダーやコンサルタントの軸をぶらし、またそれがユーザー側の混乱や無茶な要求を蔓延させていく。一度始まったネガティブフィードバックはそうそう止められるものではない。
BCPの構築はさらに困難を極める。ただでさえ予算を取りづらい案件である上に、基本的には本稼動しているシステムとほぼ同等の物をずっと安いコストで提供するように求められるからだ。もちろんベンダーとしてはそのまま呑むわけにはいかないのでシステム容量を大幅に削ったりインターフェースを単純化したりといった矮小化を行なうしかない。結果、まさかのときにも役立たずなカッコだけBCPをでっち上げてしまったりする。
信頼性や機能を確保するために湯水のようにコストをかけられるわけではない事も十分承知しているつもりだが、ある程度のコストをかけなければ必要十分な信頼性と機能は担保できないのだ。そういう点ではJISAの指摘は正しいといえる。
しかし、いくつかの点で少し気になる部分がこの記事の提言に含まれていた。

>>日本の企業が導入している情報システムは、大変緻密であり、完成度も高い。日常的な不具合を感じることがなく運用できる。だが、一度問題が起こったときには、手の施しようがない。これに対して、海外の企業が導入している情報システムは、ぎくしゃくした運用環境であっても、なにかあったときには、なんとかなるという場合もある。どちらを選択するのか。これは、社会的な選択といえるもの

はっきり言ってこれは詭弁だ。一度問題が起こると手の施しようがなくなるようなシステムを完成度が高いなどとは噴飯ものだ。海外企業が導入しているシステムをギクシャクした運用環境となじってみせ、どちらを選ぶかは社会的な選択と結論付けるにいたってはまさに手の施しようがない。ここから先はわたしの想像に過ぎないが、おそらくこの人の言いたい事とはこうだろう。「日本製のシステムはユーザーのわがままや思い付きにすべて答えて作りこんだ云わばテーラーメードで完成度が高い。コードの職人芸的緻密さはスパゲティーのよう、いやいやとっても緻密ですよ。海外製品のようなお仕着せのシステムでユーザーのわがままを聞いてあげようと思ったらギクシャクした運用になっちゃいますね」

まあともかく、
ユーザーがわがまますぎること/IT部門がユーザーの下僕になってしまっていること/購買も含めてコスト削減に過度に行き過ぎること/ベンダーがパッケージ化の努力を怠ってユーザーに迎合しすぎること(そうせざるを得ない悲哀は分かるけどね)
毎回この手の問題を考えるに当たって行き着くさきは、とにかく! ITさん頼むからしっかりしてくれって話に落ち着くんだよね~

2007年6月6日水曜日

iPhone CMが煽られまくりの件

http://jp.techcrunch.com/archives/new-iphone-ad/
iPhoneの新CM

新CMというから本物だと思っていたら本家の方を見てみると

http://www.techcrunch.com/2007/06/05/new-iphone-ad/
New Fan-Created iPhone Ad

Fan-Created…..紛らわしい。コメント欄も混乱気味の煽られまくりで面白い。

iPoneについては当分日本にはやってこないだろうから興味は薄いのだが、USでの期待感はずいぶん高まっているようだ。
http://jp.techcrunch.com/archives/yes-but-what-does-that-have-to-do-with-the-iphone/
で、iPhoneとどう関係あるんだ

でも、その反面CM記事のコメントにPalmのTreoと比較して何が革新的なんだ?ってな煽りも入っていたりするので少し安心してみたりする。機能面のみで比較すれば、ようやく日本の携帯電話と遜色ない端末が出るんですね、っていう事にもなるわけで、スティーブ・ジョブスがいったい何をもって「すべてを変えてしまう」のか見ものではある。

つい先日イギリスへ出張したときに持参したSoftbank携帯がヒースローではバリバリ圏内だったのにそこを離れるとやたらと圏外になってしまってイライラさせられた。以前はそんな問題はなかったので、やっぱりVodafoneじゃなくなったせいなのか?と思ったのだが、真相は違った。3GとGSMを自動切換えに設定していたのが問題だったのだ。わたしの携帯は3Gの電波を優先的に探すよう設定されているらしく、ようするにイギリスでも3Gのサービスが始まっていて、しかしエリアがまだまだ狭かったためにアンテナ一本と圏外をフラフラしていたようなのだ。結局はGSM固定の設定に変更することで問題は解決した。
話が脱線したが、iPhoneが日本でリリースされるのはヨーロッパの3G化が本格化した後なんだろうな~っと、そしてそれはまだまだなんスねっていう話である。リリース前からこれだけ話題沸騰のデバイスというのも珍しいし、日本の鎖国常態な携帯インフラの世界を「すべて変えてしまう」ような力があるかもしれませんね。

2007年6月5日火曜日

AVAYAも身売りだそうです

http://japan.cnet.com/news/com/story/0,2000056021,20350192,00.htm
アバイアが身売り--Silver Lake PartnersとTPG Inc।に総額82億ドルで - Cnet

LucentがフランスのAlcatelに事実上吸収合併されてしまったのにも驚いたがAVAYAまでも身売りしてしまうとは驚きだ。背後関係がサッパリわからないのでアレだが、隆盛を誇った旧ベル研も夢のあとってか?感慨深いねコリャ。

http://japan.internet.com/finanews/20070530/12.html
通信システム大手 Avaya が身売り交渉中の模様
一月前にはこんな記事も出てたので寝耳に水でもないし、ノーテルと合併!!っていうよりはニュースとしてはイマイチ弱めか?


http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/04/23/2908.html
McAfeeからSnifferを買ったのが件の投資会社。 TPG Capitalについては調べるのが面倒なので後回し。

http://www.avaya.com/gcm/master-usa/en-us/corporate/pressroom/pressreleases/2007/pr-070604a.htm
AVAYAのプレスリリース。長くて面倒なので後で読もう。

米系の会社なら身売りなんて珍しくも無いし本来ならニュースサイトで読み飛ばして終わりなのだが、さすがにこの業界に身をおくものとして旧ベル研究所に深く繋がる企業の身売り話は捨て置けない・・・・って事も無いか。まあ身近にAVAYA PBXで飯を食べている人も多いことだし気になるニュースではある。




2007年6月4日月曜日

テレワークが熱くなりそう(と、いう希望的観測)

首相官邸が掲げるイノベーション25にテレワーク(在宅勤務)の推進が盛り込まれた。2010年までに就業人口の2割をテレワーカーにするという。
http://www.kantei.go.jp/jp/innovation/index.html

団塊世代のリタイヤによって深刻化する就業人口の減少や少子化への対策が政府の狙いであろう。こういった具体的な数値目標が提示されたことで私たちテレコム・ネットワーク関連ベンダーにとっては今後収益を見込める大きな市場の形成が確実なものとなる喜ばしいニュースとなった。
すでに各方面でテレワーカーをターゲットとした商品の開発やリリース、マーケティングなどの話が聞こえてくる。NGNとのインテグレーションを絡めての実験もさらに活発に行なわれることと思われる。

今までも在宅勤務関連の定点観測は行なっていたが、今後ますます注力していく事とする。


+++ 資料 +++

日本テレワーク協会推計:
1996年度 81万人
2005年度 506万人 就業人口の7.8%


http://www.telework-forum.jp/
テレワーク推進フォーラム: テレワーク関係4省(総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)の呼びかけにより設立

http://www.telework-gakkai.jp/top.cgi
日本テレワーク学会

http://www.japan-telework.or.jp/index.html
社団法人日本テレワーク協会

2007年5月22日火曜日

日本のIT投資が煽られまくりの件

またこの手の記事かとウンザリだが、その分析結果はなかなか興味深かったのでメモって置くこととする。

http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/topic/2007/05/21/10311.html
IT投資による生産性、日本ではなぜ向上しない?-アクセンチュア調査

http://www.atmarkit.co.jp/news/200705/21/accenture.html
日本のIT生産性の低さは果たして改善できるのか

IT部門の貢献によって企業の生産性は向上しているか
日本 52%
米国 75%
IT投資と経営目標の整合性が取れているか
日本 取れている 4割
米国 取れている 8割
経営層とCIOが緊密に連携しているか
日本 連携が取れてる 43%
米国 連携が取れてる 79.5%
※ 業務部門よりもIT部門の管理職のほうが厳しい認識を抱いている

選任CIOが存在する割合は 5.8%

> ITによって企業価値創出や生産性向上のために何をすべきか分からないと回答した割合は日本の方が低いという。
本当かな?そもそも真剣に考えてないからこそこんな結果が出たのではないかと邪推したくなる。

> 社内システムの標準化努力が欠けており、さらにレガシーシステムとの兼ね合いでアプリケーションを分離できない
テレコムの分野でもいえる事だ。既存の古めかしい設備を残して基幹部分だけ刷新したいという案件は多いが、結局古いインターフェースやオペレーション方法が足かせとなってスマートなシステムを提案できずコスト高にも繋がる。

対策
1) CIOおよびIT部門の役割を明確化すること
2) IT投資マネジメントを確立すること
3) ITの人材不足に対して思い切った施策を講じること
4) それに伴い、全社的なIT戦略を明確化すること

総務部が片手間にシステムの面倒を見ているような企業はお話にもならないが非常に多いのが現状だ。一足飛びにCIOとか言われてもサッパリな経営者の方が日本には多いのではないだろうか? だからこそ、この手の記事や提言は2,3年たった後でも、合いも変わらず出て来るのだろうと思う。

いろいろあさっている時にこんな記事を穿り返してしまった。
http://www.atmarkit.co.jp/news/200606/07/abeam.html
2年経っても改善しないIT投資の難しさ、アビーム調査から 2006/6/7

去年の段階で2年前から改善しない・・・日本のIT投資ベタは事実として肌で感じるところだが、外資のコンサル会社にばかり指摘されているのも口惜しい限りだ。その癖、結局日経新聞系のIT記者たちが書き散らすのは前にも指摘したようなこんな記事なのだからタマラナイ。

http://telecowatch.blogspot.com/2007/03/it.html
IT部門の解体を考える!? いや、考えるな!

2007年5月21日月曜日

ガートナー: IT投資動向報告書2007年 -日本と世界-

http://japan.cnet.com/research/column/market/story/0,2000067181,20349062,00.htm
世界のIT投資マインドで日本は最下位、1位インド--ガートナー調べ

日本企業のITベタについては何を今更という感も無くはないが、こうも他国と比較されて最下位だと言われてしまうとむかっ腹も立つ。ガートナー自身がITコンサルなだけに、日本国内の危機感をあおってでもIT投資の活性化を図ろうとしているんじゃないかとか、そんなのは100%邪推です。

http://www.gartner.co.jp/press/pdf/pr20070308-01.pdf
彼らの掲げた7つの指標のうち、IT投資の増加率とIT予算の対年商比率で高いポイントが出せるのは当然IT後進国であって、すでにIT化の行き届いた国と、まだまだこれからの国とでは投資比率が大きく異なるのは間違いない。アメリカが8位という結果を見てもそれは明らかだろう。ただし、それだけでは日本の総合得点ブッチギリのビリッケツぶりは説明不能だ。問題はITの重要性を理解する経営者の不在に尽きると私は考えている。

きちんと機能しているCIOのいる日本企業がいったいどれだけあるだろうか? ITの重要性まで言わずとも、ITによって何を実現させたいのか、その明確なビジョンを描こうとする経営者がどれだけいるだろうか? ビジョンを描こうとすらしない経営者に攻めや守りのIT投資の何たるかが語れるはずがない。 新規技術への投資はメーカーの中ではある程度行なわれているだろうが、ビジネス側がそういった新しいテクノロジーを積極的に採用するとも思えない。 ITで何を実現したいのか明確でなければ他に先んじて新しいテクノロジーを導入する動機など生まれるはずも無いのだ。

何も難しいことを言っているわけではない。今や、PCやネットワークをまったく使ってない企業の方が珍しいだろうし、社員数4,5人程度であっても簡易なPBXを使っている企業も多いはずだ。携帯電話だって使っているかもしれない。 必要なのはそれらを精査することだ。それらを使って今どんな作業をしているのか、またそれらを使わずにどんな作業をしているのか、そしてそれはキチンと効率化されているのかどうか、しっかり見つめなおすべだし、それを評価できるような人材を雇用するなり育てるべきなのだ。そして、ある程度以上の規模を持つ企業ならばCIOを積極的に設置することでIT化と経営の親和性を格段に上げることもできるはずだ。

今、日本市場の中で行なわれているITへの投資の仕方、IT設備の使い方や刷新の仕方があまりにもヘボだからこういうレポート結果が出ているという事を肝に銘じてもらいたい。そして、そんなヘボな投資を繰り返したって日本経済は世界の中で大きな位置を占めてきたし、今でも占めているんだという自負心を取り戻してもらいたいと思う。わたしたちが情報化のうまい使い手になった時、どれだけ日本経済は強くなってしまうのだろうかと、そんな楽観的な希望を感じる反面、日本人は頑固だからそうそう変われないよね、しゃーねーなーとも感じるのだ。

ターボリナックスのInfiniTalk

ターボリナックスがAsteriskベースのIP-PBXソフトウェア InfiniTalk を2007年6月にリリースする。
http://www.turbolinux.co.jp/infinitalk/

・ Turbolinux 10 server 41,790円
・ Turbolinux 10 server x64 edition 62,790円
・ InfiniTalk (10ユーザーライセンス) 198,000円
・ IP電話IP NETPHONE S 37,800円 (InfiniTalkカタログに記載の価格)
・ InfiniTalk IIVR+ (外線1チャネル) 48,000円

オプションのIVRは除いたとして、基本セットに電話機10台、サーバー込みで100万円を切る値段になるようだ。サポートをどこまで受けるかや、外線のインターフェースをどうするか、またIVR等のオプションによってさらに追加コストが発生することになる。Turbolinuxは従来の3分の1の導入コストを謳っている。 NTTデータが発表した astima VS-1601AS はオープン価格との事なので価格の比較はできなかったが、そのサービスの提供の仕方の違いが非常に興味深かった。方や、元々フリーなLinuxサーバーを販売してきた会社らしく、フリーなAsteriskも同様な思想で販売しようとしている、方やNTTグループ企業らしい組み込みパッケージでの販売となっているようだ。

この界隈には疎いので所詮Webで拾える程度の情報しか得られないが、ユーザー数をライセンス契約で区切ったり、オプショナルな機能に課金したりするTurbolinuxの手法は少々旧態依然としたものにも見える。あえて言うなら従来のPBX主装置の販売形態と大差なく、価格での差異化のみに焦点を当て過ぎてしまうのではないかという危惧を感じるのだ。ビジネスとしてAsteriskを扱う際、どのように利益を確保するのか、TurbolinuxとNTTデータの答えの差異の行く末はもう少し見守る必要がありそうだ。

Asterisk製品は今後ますます中小規模オフィスのPBX市場を席巻することになるだろう。既存のPBXベンダーの中にはすでに小規模システムの販売をやめてしまった所もある。利益率の大きい大規模システムにフォーカスして無理な価格競争を避けたいというのが本音だろう。Asteriskが大規模導入に十分耐えられるようになるにはまだ時間がかかると私は見ているが、しかし着実にその適応範囲を伸ばしてくるのは間違いない。その時までにPBXベンダーのうちの何社がそれに対抗しうる施策を得られるのだろうか?

報道へのリンク

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0705/15/news069.html
http://japan.zdnet.com/oss/story/0,3800075264,20348891,00.htm

http://japan.cnet.com/release/story/0,3800075553,00018112p,00.htm
InfiniTalkでダイレクトマーケティング。いろいろな展開を考えているようだ。

2007年5月17日木曜日

テレコムに期待されることって結局はディスカウントだけなんかいね

電話だけに限らずとも、テレコム製品やサービスは押しなべて枯れた存在だ。交換手が手動で接続先にジャックを刺していた時代から、クロスバー自動交換機が現れたあたりの頃ならまだまだ色んな期待をされ、目新しさもあったかも知れない。しかし、それがTDMによるデジタル化を経て、VoIPへ、だのなんだのと言ったところでどれだけの新規性とインパクトをユーザーにもたらしたのか、はなはだ疑問である。要するに機構や仕組みをいくら挿げ替えても、デバイスが刷新されても、音声伝送という基本サービスそのものに誰も目新しさを感じていないのだ。新しい技術を導入したところで、それで実現できるのはすでに見知ったおなじみの物では致し方ない。

社内ITの愚痴としてよく聞かれる話の一つに、障害時のプレッシャーの違いというのがある。PCやネットワークがらみで障害が起こった時と、電話や音声サービス周りで障害が起こった時とでは、ユーザーの怒り方が違うというのだ。電話はいつ何時でも繋がって当たり前、それが繋がらないなんてふざけるな!という事なのだろう。そうはいっても障害ぐらい起こるのだ。特にVoIP機器はまだまだ発展途上であって、従来の枯れたTDMシステムと比べれば多くの問題を抱えている。しかし、そんな機構の違いなどユーザーにとって知ったことではない。 NTT東日本のひかり電話サービスの大規模障害もその一つではないだろうか? あの時、当然だがインターネット接続もダウンしていたのだが、ことさらに電話サービスが止まったことを強調されていると感じたのは私だけだろうか?
110番や119番なども含め、ライフラインとして電話が重要なインフラであるからこそ、繋がって当たり前でなければ困るし、障害時に強く非難されもするのだ。しかし、それだけの品質を維持していくためにはそれ相応のコストが必要になることを忘れてはならない。

マイラインが始まり、様々な規制緩和の結果、電話料金はかなり安くなった。さらにネットを使った様々なサービス、Skypeやjajahなどなど、によって集金構造は劇的な変化を見せている。携帯電話の値下げ競争も今日に始まったことではない。各社とも通話サービスなどそっちのけでWebやFelicaなど副次的サービスの充実に血道を上げているし、モバイルの世界でもネットを使った無料通話サービスが本格化するのはすぐだ。PBXベンダーもAsteriskに脅威を感じているだろうし、ビデオ会議システムはIMツールに取って代わられないように必死だろうし・・・

そして、それらすべての流れに共通するのは「音声通話サービスの無料化、または大幅な低価格化」に他ならないのだ。
音声通話に対していかに金を払わずに済ませるか、それがビジネス側やコンシューマーの要求だ。それを実現させるために私たちテレコム屋は己の牙城であった音声通話システムをネットワークサービスの一部門に矮小化せざるを得ないし、すでにそれが規定路線なのだ。インフラは誰か儲かってる人にアレしてもらって・・・

2007年5月11日金曜日

今更だがjajahの定点観測をしてみる

電話会社による通話料ビジネスがいずれ終焉を迎える事になるのは最近のトレンドから考えると避けられないように見える。通話品質や接続性への保証を担保とする通話料や回線料を取り続けるビジネスも最終的にはなくなるのかも知れない。だが、その先にある懸念としてわたしが感じるのは、いったい誰がこの膨大な音声通話用のバックボーンを支えるのかという点と、従来のアナログ/デジタル回線のインターフェースに準拠して作られてきた機器がゴミくずになるかもしれないという2点だ。
ネットで処理すれば無料という感覚はその影で稼動するシステムへの無理解から来ているのではないだろうか? それが電話であろうとネットであろうと、コミュニケーションシステムを支えるインフラに莫大な費用がかさむ事に変わりは無いのだ。もちろん、技術の進歩によってコストの大幅な圧縮はなされるだろうし、パケット通信はTDMよりも回線効率を高めやすいとしても、それによって基地局の設置やケーブル敷設の土木工事まで無くしてしまえるわけではない。通話料で回収できなくなった分は他に回すしかない。それが出来ないとなればインフラが崩壊してあらゆるサービスが止まらざるを得なくなるからだ。
JajahであろうとSkypeであろうと、その他雨後の竹の子のように出てきたあらゆるWebやインターネットベースの音声・映像コミュニケーションツールは、ネット回線というインフラの安さに寄って立っているに過ぎない。バックボーンがトラフィックの急増に耐えかねてそのコストを上げたり、固有のパケットに従量制課金を適用するなどすれば、そこで競争力を失ってしまうことは無いのだろうか?

従来のインターフェースが廃れてしまって困るのはメーカー側の視点でしかないが、こちらとしては困った問題でもあるし、ある種のチャンスでもある。次世代インターフェースのスタンダードを確保する競争が激化するかもしれない。
今は小回りの利くベンチャー系の企業が次々と新しいサービスを繰り出しては市場をひっくり返してやろうと虎視眈々と狙っている状況だ。
毎度のことだがこの手の目新しいニュースの中に日本企業の名はサッパリ上がってこない。一抹の不安と寂しさをおぼえるのはわたしだけではないだろう。



http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070511/270646/
WebベースIP電話サービスのJAJAH,Intelなどから2000万ドルを調達

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070109/258267/
二極化が進む今こそ電話サービスが面白い

http://www.jajah.com/
jajah

http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000055954,20323627,00.htm
「競合はSkypeでもキャリアでもない」--創業者が語る次世代VoIP「JAJAH」

2007年5月7日月曜日

IT業界のCO2排出量

http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20348196,00.htm
IT業界のCO2排出量は航空業界並み--米国調査

記事にもあるように、CO2の排出量うんぬんという視点での議論は私たちの業界内であまり活発でないように思う。確かにIT機器は多くの電力を消費しているし、発生する熱を下げるために膨大なエネルギーを使っている。オフィス内に沢山のPCがある場合と無い場合では、空調の設定温度も変わってくるはずだ。実際、週末の空調の効いていないオフィスの暑さは尋常ではない。マシンルームの中ともなればなおさらだ。機器を守るためには致し方ないとはいえ、真夏でもジャンパーが必要なほど冷え冷えしたマシンルームを持つ企業も珍しくない。環境問題は世界的にも注目度が高いだけに、法整備が進み規制が多くなって、今後ビジネスに影響が出てくるかもしれないなどとマイナスに捕らえるよりも、一足先にこの問題に解決を与え、新たなチャンスを掴めるように、各ベンダーは努力すべきだろう。

2007年4月25日水曜日

雑感 (日本の機器メーカーさん頑張ってよね)

フリーソフトやPC上の無料サービスは驚異的なペースで充実してきている。PCやネットやソフト上だけの話と高を括っていられたうちは他人事で済んでいたが、すでにそんなのんきな事を言っていられる状態ではない。テレコム業界などあちらこちらに火を放たれて息の根が絶たれるのも時間の問題かもしれないのだ。
SkypeやWindows Messengerに代表されるIMソフト、IP PBX ソフトのAsteriskなど有名どころも含め、SIPサーバーやテレビ電話会議などなど、PC上で実現可能なあらゆるサービスを実現するフリーソフトは今後ますます生まれ、そして洗練されていくことだろう。これらのソフトウエアやサービスはFSF (Free Software Foundation)やオープンソースを信奉する少々原理主義的な人々や団体がリリースする物から、一企業があえて無償で提供するものまで、その成り立ちは多彩だ。既存の機器メーカーを脅かす存在にまで成長したそれらの仕組みを企業が正式に採用する例も見られるようになり、今後この流れはますます加速していくことだろう。
しかし、その流れの先には何が待ち受けているのだろうか?
既存の機器メーカーやソフトハウスがそのシェアを減らしていくのは間違いない。無料に勝るディスカウントなど存在しないからだ。ベンダーはそれらのフリーソフトそのもので稼ぐことが出来なくとも、周辺機器と導入費、保守料さえあればビジネスに影響をきたす事はないかもしれない。メーカー系列のベンダーの中には対策を急ぐ必要がある会社もあるかもしれないが、今やメーカー系ベンダーといえども他社製品、特に海外メーカー製品を扱うことに拒否反応を示すところは少ないだろう。やはり問題は開発母体となるメーカーの生き残り策であろう。
もちろん時代の変化に呼応した動きはすでにあちらこちらで始まっている。ユビキタスやウェアラブルコンピューティングと言われると何のことか分かりづらいが、要するに組み込み系の商品郡の開発やそれを下支えするインフラの整備などもそれに当たるだろう。PCとネットさえあれば一通りいろいろな事が可能だが、それらをストレスなく使いこなすにはある一定以上のスキルが要求されるのも事実だ。ならば、Skypeを稼動させられる仕組みを埋め込んだ電話機を作ってしまって、ユーザーはそれをUTPケーブルでHUBに指すだけでいい、というような商品を作ればいいだろう。あるいは、無線LANを今の携帯網並に発達させてSkype携帯電話を作ってもいいだろう。だが、いずれにせよ今まで機器メーカーが持っていた独占的な市場形成やビジネス形態は通用しづらい世の中になっていくのは止められない。
日本のメーカーがネット機器の分野で大きく立ち後れてしまったのはRFCなどの仕様がUS主導で形成されてきた経緯から考えて致し方ないとしても、今後、このインフラの上に乗せるアプリケーションやサービス、そしてそれらを実現する組み込みデバイスの分野で立ち遅れることの言い訳は一切出来ないと肝に銘じるべきだろう。通信の世界だけに絞って眺めてみても、この国は独自仕様に強いこだわりがあることが分かる。もちろんそれは日本だけに特別なことではない。先進国で通信技術に秀でた国はいずれも独自仕様の開発に余念がない。大きな違いがあるとすれば、己の独自仕様をデファクトスタンダードへ押し上げる戦略や手管がとってもヘタクソだという点なのだと思う。
日本の技術力は今でも世界一だと私は信じている。だが、技術力だけでビジネスとして成功できるわけではない。いかに素早く、他に先んじて独自の仕組みやソフトやプロトコルを広め、業界標準と呼ばせるかが鍵となる。日本国内の市場だけを相手にチマチマやっているだけではあっという間に海外製品の波に飲み込まれてしまうだろう。インターネットの広がりが、逆に日本人を日本国内だけに閉じ込めてしまっているように感じる。英語圏内で次々と形成されていく諸々に、すでに後塵を拝している感のある日本のメーカーやソフトハウスの更なる努力を期待したい。

2007年4月23日月曜日

GoogleがMarratechのビデオ会議ソフトを買収

Google,ビデオ会議ソフトを手がけるスウェーデン企業を買収へ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070423/269150/

>> 同社は,当初,Marratechのソフトウエアを社内向けに導入するが,将来的に社外に提供するか,あるいは自社製品と統合するかについては明言を避けた。

社内向けのビデオ会議システムのために会社をまるごと買収してしまうとは、さすがGoogle、儲けてますね、豪気な話だ。昨年末あたりだったか、Googleが社内ビデオ会議システムの構築と運用のために人探しをしているからどうかとヘッドハントのエージェントから話があった事を思い出した。その時はTandbergのプロフェッショナルを探していたようだったが・・・・

と、思っていたらCNETではこんな記事が
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20347641,00.htm
>> これにより、Google利用者は、インターネット接続環境さえあれば、ビデオ会議を行えるようになるという。

ITMediaの記事は当たり障りのない速報情報しかなかった。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/20/news054.html

どういうことかと思って公式ブログを確認してみると
http://googleblog.blogspot.com/2007/04/collaborating-with-marratech.html

>> (Marratech software) which will enable from-the-desktop participation for Googlers in videoconference meetings wherever there's an Internet connection.

Googlersが何を指すのか知らないので何ともいえないが、Googleを使っている一般ユーザーの事っていう理解でいいのかな?

ちなみに
>> Update: To clarify some confusion, we acquired Marratech's software, not the company itself.

ITProさん、少なくともココでは「企業買収じゃない」ってわざわざ混乱を避けるためにと注記してますよ。記事は正確にお願いします。こうなってくると、俄然ITProの記事は適当な書き飛ばしで、CNETの記事の方に信憑性があるように見えてくる。

http://japan.internet.com/finanews/20070423/12.html
>> Google の広報担当者によれば、どのような形でこのビデオ会議ソフトウェアをインターネット ユーザーに提供していくかについては、発表できる情報がないという。

ようするに、Blog書いた人が先走っちゃって広報の人に叱られちゃいましたって話ですか?
そろそろ興味も失せて来たのでこのくらいで止めておこう。

2007年4月18日水曜日

一斉同報通信 SkyIPCast

NEC ネッツエスアイ、WiMAX 防災無線システム評価検証をサポート
http://japan.internet.com/allnet/20070417/4.html

記事本文に記載は無いが、NECネッツエスアイが提供するVoIP一斉同報のプロダクトといえば SkyWaveのSkyIPCastの事と考えてまず間違いないだろう。同製品はこの手の自治体における同報通信/放送システムに多く採用されているようで、ニッチな市場の中での話だがその存在感は異彩を放っている。残念ながら私はWeb等で公開されている以上の詳細な情報を知る立場にないが、顧客の要望や、Ciscoなど3rd パーティー製品とのインテグレーションを可能にする細かなカスタマイズを行いつつも、かなり低価格なのではないかと予想している。特に自治体で多くの実績を築いている模様だ。
首都圏ではあまり見かけなくなったものの、地方自治体では村や町を網羅するように拡声器を配置し、水害などの緊急放送、催し物の告知、夕刻を知らせる音楽などの配信サービスを行っている。スピーカーから流れる音声は不鮮明であったり、家の中に居ると聞こえづらかったりと言う難点があるものの、地域特有の災害告知は特に無くてはならない重要なものである。近年、これらの設備の老朽化が進みリプレース時期を迎えているという事もあるだろうし、またそれとは別の動機も相俟って、SkyIPCastへの注目が集まっているように思う。
国策として推し進められたe-Japan戦略の予想以上の成功により、ネットワークインフラは次々と増強されてきた。そして同時に地方自治体も何故か独自のインフラを構築し、増強してきたのだ。それを批判するつもりはないし、そもそも背景となる事情にも疎いのではっきりした事はいえないが、だぶついた帯域の使い道を血眼で捜している感があるような無いような・・・そのあたりの事情もあって、各家庭に端末とネットワークポートを配備し、同報通信を行うと言う発想に結びついている面もあるのではないだろうか?


中央コリドー高速通信実験プロジェクト推進協議会 (CCC21)
http://www.ccc21.or.jp/index.htm

まったく知らなかったのでちょっとだけ調べてみたら・・・
http://www.ese.yamanashi.ac.jp/~itoyo/preparation/scrap/asahi97.htm
脱力してしまった・・・
通信インフラという名の箱物行政とそれに群がる通信機器メーカーの図ってとこでしょうか?

2007年4月17日火曜日

新発売!! Polycom V700

ポリコム、データ共有機能付モニタ一体型ビデオ会議システムを発表
http://japan.cnet.com/news/com/story/0,2000056021,20347210,00.htm

今までこの手のデバイスがラインナップに無かった事の方がむしろ驚きだ
57万8千円ね・・・

リリースノートによれば、、、
>> 個人向けビデオ会議システムの出荷が、今後5年間に年平均成長率24%の割合で増加すると予想しています
>> 最近の調査では、回答者の70%が、2007年中にデスクトップ型ビデオ会議の新規導入または拡張の計画があるとしています。

との事。あくまでUSでの結果なので、日本での反応はもっと薄いと予想される。確かに日本市場においても、PBX以外の音声系システム案件ではビデオとのインテグレーションを求められる事は多いが、大抵のケースでは単なるカッコ付け、味付け的な意味合いが高いように思う。なのでお値段的にお手ごろ感のない本格派は敬遠されがちだ。USと日本では持ち出される案件も提案もかなり異なったものになる事は想像に難くない。

http://www.sony.jp/products/Professional/VIDEOCONF/products/index.html
Sony PCS-TL50 は 701,400円 / PCS-TL30 は 315,000円

http://www.tandbergjapan.com/products/video_systems/tandberg_centric_series.html
Tandberg Centric シリーズは 150万~60万ぐらいの価格帯

Polycom V700は追加モジュールやライセンスを買わずにすべての機能が使用可能なのだろうか? 使用法や要望にも寄るが、後発なだけあって戦略的な価格設定をしてきたという事なのか? ちなみに、今期からF1のスーパーアグリとスポンサード契約をしたスピーカバスも卓上ビデオ会議風ソリューションを提供している会社で、日本でも営業展開している。
http://www.mki.jp/products/manufacture/speakerbus/index.htm

今後、卓上ビデオ会議市場が日本でどの程度拡大するのか見守りたいと思う。

2007年4月4日水曜日

ユニファイド・コミュニケーション・システム VS 専用機 その2

PBXのリプレース頼みだけでは頭打ち情報系との連携商談で新市場を開拓
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070330/266979/

法人向けIP電話機器市場、06年の出荷額は9.7%増の1073億円、IP-PBXの成長鈍化
http://www.yomiuri.co.jp/net/cnet/20070330nt1a.htm

IP電話という錦の旗にかげりが見え、次なるお題目を探しているだけという気がしないでもない。目新しい物がいい物であるとは限らないのは自明の事で、専用機には専用機の良さがある事も考える必要があるだろう。

まず、専用機には長い実績の中で培われたノウハウが詰まっている。非常に効果の見えにくい部分ではあるが、長年かけて細部まで練りこまれた仕組みは業務手順との親和性も高く、長い目で見た時に大きな効果を生んでいる場合もあるだろう。そしてシステムの統合やデータベースの統一化は、何か一つのトラブルが広範囲に影響を与えてしまいかねないという危険性を孕んでいる。またバックアップソリューションやトラブル対策をキッチリ見積もっておかないと、かえってコスト高という事態も起こりうるだろう。なにより一番あり得そうなのは、その豊富な機能のほとんどを最終的には使用しないユーザーが大半を占める、というようなケースだろう。その機能郡によって従業員たちに何をさせるのか、それを徹底させるのはトップの責務だが、導入を決める段まではあーでもないこーでもない、アレが出来ないとダメ、コレが出来なきゃイヤと口煩いことこの上ない割に、導入後それがどのように活用され、どれだけのメリットをもたらしているか精査しているだろうか?はなはだ疑問である。

結局何か取り留めのない愚痴で終わるのはデフォなのか・・・

ユニファイド・コミュニケーション・システム VS 専用機 その1

ユニファイド・コミュニケーションを謳ったシステムがもてはやされているのは業務の効率化ウンヌンよりもメーカーやベンダーのマーケティングによるところが大きいのではないかという穿った見方はさておき、どちらも一長一短、プライオリティーを何処に置くかによって見方はかわるだろう。 トレンドとしては、ただの電話機やファクシミリよりもユニファイドなんちゃらの方が稟議書の見栄えがいいことは間違いない。しかし、あらゆるコミュニケーションデバイスを統合することで得られるメリットとは何か、改めて考えてみると思ったほど多くないというのが私の感想だ。

ユニファイド・コミュニケーションとは?
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070205/260648/

・ 各種設定をPCから一元管理できる
・ アドレス帳などのデータを様々なコミュニケーションデバイス間で共有できる
・ 様々なインフラやデバイスを超えてコミュニケーションを成立できる(例えばオフィスに電話がかかってきたことが携帯メールに通知されるとか)
・ オフィスのデスクにあるPCや電話などの環境を、log on / off して自宅の書斎に再現させる。(セキュリティー上の難しさはあっても、技術的には十分可能だ)

上記の記事を読んでもらえば分かるとは思うが、「将来的にはこんな事が出来るかもね」という期待感はあっても現状可能な部分については面白味に欠けるようだ。唯一、在宅ワーカーの環境を劇的に改善させられる可能性には期待したい。この変化は働き方の選択肢を増やすというだけではなく、都市や地域のあり方、人口分布にまで劇的な変化を起させる可能性を秘めている。ただし、日本人の心性という大きな障害が取り払われるならば、という前提付きで考える必要もある。コミュニケーションツールの使われ方はその国や民族の「他者との関わり方」の風習に依存するというのは私の持論だが、日本人はTelecommunication、すなわち遠隔通信によるコミュニケーションを極めて苦手とする民族ではないかと思う。外資も含めて様々な企業でテレコム製品を扱ってきた一エンジニアとしての私見だ。コミュニケーションツールだけを媒介にして、はたして良い仕事のできる良いチームを作れるのかどうか・・・

2007年3月30日金曜日

日本の世界ITランキングは14位に思うこと

日本の世界ITランキングは14位--世界経済フォーラム調査
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20346131,00.htm?ref=rss

日本がIT先進国と自認している方々は、そんな大間違いな認識を新たにすべきでしょう。日本は確かに工業や製造に秀でた能力を持っているし、その分野では未だに少なからぬアドバンテージを保持していると思う。(そう信じたいという気持ちも含めて) だが、そんな優れた工業製品を産出するトップ企業も含めて、多くの日本企業のIT分野への投資や導入事例は欧米企業の行うそれとはあまりにもかけ離れていてお話にもならない。インフラ面、特にブロードバンド回線の普及が目覚しい進歩を遂げたのは事実だが、インフラはあくまでもインフラに過ぎない事を肝に銘じる必要がある。
必ずしも欧米的IT促進事例がすばらしくて、日本はダメだと私は思わない。日本にはIT化に頼らなくても業務を強力に推進することの出来る人材と協調作業に適した文化があり、それらをさらに伸ばしていく方向で補助的にIT化を進めてゆけば十分だという気もする。問題なのは中途半端さなのではないだろうか?
ITとはテクノロジーの導入による作業の効率化だけを指すのではない。人が手で運ぶのを止めてベルトコンベアーを導入するのとは分けが違うのだ。IT化とは、業務フローや組織の改編、個々の意識の改革や、組織や会社のあり方まで問い直しながら、”技術革新と親和性のある仕組み”をトータルに生み出すことに他ならない。日本人は器用なばっかりに旧来のやり方に沿わせるようにITを導入してしまう傾向がある。カスタマイズだらけのオーダーメイドシステムを導入するものだからバカ高いし(それでも格安だと思いますけどね、あれだけのカスタマイズをそんな値段で出来ちゃうものかと驚くこと頻り)それに、きちんと作りこんであるから故障率も低く、10年物のデバイスが現役で生きているのもざらだ。そもそも手法を変えるつもりがないからシステムをリプレースする必要も無い。
それがいいのか悪いのか、私の稼業上、いい加減にリプレースしてくれよ、そんな古いシステム面倒見れる人を確保できねーよ!っと声を大にして言わせてもらいたい。

なぜか愚痴になってしまった・・・

独り言 「Asteriskねぇ・・・」

勉強不足なのでよく知りませんが、中小企業にはもってこいなんすかね? 自社で運用する気なら電話機をどこかから買ってきて、電話回線のインターフェースボードを買うか、キャリアのSIPに直接つなげるかすればOKだし、機能豊富で何かする度にライセンス買ってね(はーと)とか言われないし。。。

実験用にソフトのインストールだけしたけど電話機買う予算がないもんだからほったらかして、はや1年・・・どうしたもんか。

そういえば、某ハゲタカファンドにシテヤラレタと物議をかもした某銀行がPBXをAsteriskにリプレースしようとしてるって言う噂を聞いてから随分たつけどどうなったんだろう? 大規模導入ってだけでどうなのよ?って感じなのに、銀行業務に(トレーダーとか含めて)導入しちゃおうって言うんだからスゲーな、そりゃ日本人ITは逃げてくよなー。
まあ、その後どうなったのか知らないけど。

2007年3月26日月曜日

ITに対する日経新聞社の無理解を嘆く前に考えるべきこと

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20070326/266242/
ITに対する経営の無理解を嘆く前に考えるべきこと

日経の人たちってこういう論調が好きだね~
>>。「○×システムを導入しないと、企業は生き残れない」といった脅し文句が効き、
その脅し文句を掲載することで儲けてた提灯記事満載雑誌を発行してる会社はどこでしたっけ? 

>>ITベンダーは周りの無理解を嘆いてばかりいないで、企業情報システムという仕事への理解を広く得るためにはどうすればよいのかを、そろそろ真剣に考えた方がよい。
言わんとしている事の結論は、「あたくしどもの雑誌では提灯記事の出稿をどしどしお待ちしておりま~す」って事ですか? 理解を広く得るって、マスコミの力でも使わないと無理ですもんね。なるほど納得です。

2007年3月20日火曜日

IT部門の解体を考える!? いや、考えるな!

IT部門の解体を考える
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20070319/265568/

>> 経営者らの「IT部門に任せておけば大丈夫」、IT部門の「ITベンダーに任せておけば大丈夫」という信頼関係が崩れてしまったという認識が根底にある。
こんな信頼関係(?)が今まであったのかどうかはこの際置いておいて、さらに経営者やユーザーが何をもって「IT部門に任せておけば大丈夫」と考えてしまったのかも論じずに、あくまでIT部門・ベンダーの抗弁として言わせてもらうならば、「業績を伸ばす仕組みを作り上げる」のは貴方たちのお仕事で、こちとらソイツをテクノロジーでもってどうやって落とし込んでいきましょうかね?ってのを考えるのが仕事なんでぃ!と、こうなるわけですが、そのあたりの事をどのようにお考えなのでしょうか?

>>日本のIT投資額は米国の3分の1強、全世界の10%強を占めている。ほぼGDPと同じウエートで、これだけのIT投資をしても期待した成果が上がっていないとすれば、ユーザーが最も必要としているところにIT投資を振り向けられていない、海外より高い商品やサービスを購入している、などといった要因が容易に推測できる。

「ユーザーが最も必要としているところにIT投資を振り向けられていない」のでしょう。製品単価の高低はマスで見れば誤差の範囲だと思いますので、原因はそこにあるのではないでしょうか?
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070123/126794/
>>日本のIT投資額は米国に次いで世界第2位であるが,GDPに対する割合は,英国,ドイツ,フランスよりも低い
>>経理や事務担当の役員が責任範囲の一部として情報システム部門をマネジメントしているケースが多い
>>米国企業ではERPパッケージを導入し,業務をERPパッケージに合わせる組織文化が日本に比べて強い
こういった指摘もある事を十分念頭に置いておきたい。
そもそも、IT投資をどこに振り向けるのか決定するのはIT部門なんですか?まさかベンダーの言いなりなんてこと無いですよね?

>>ユーザー企業の経営戦略にも左右されるが、ITベンダー自身の生産性の低さという問題も隠せない
本当ですか?無茶な要求を突きつけておいて生産性が低いとか言ってないですよね?保守運用コストが高いとおっしゃるが、導入時から保守契約をきちんと結んでおけばコストの上限はおのずと見えてくるのに、それをケチッたがために思いもかけぬ出費を強いられたなんて事例は、まさか念頭に置いてないでしょうね?

>>IT部門は細かな部分のカスタマイズにこだわり過ぎるというのだ。「ユーザー部門の声に応えるため」というのがIT部門の言い分だろうが、もしその投資が無駄な領域に向かっているとしたら、売り上げや利益をいかに伸ばすかを考えている経営者らが不満を募らせるだけだ
IT部門に文句を言う筋合いの話じゃないでしょうに。明確な戦略に基づいて業務フローの見直しまで踏み込まない経営側の無責任をこそ問題視すべきで、これじゃあ旧来のやり方を変えたがらないうるさ方の要求に寝る間も惜しんで苦労する方々が浮かばれませんよ。

>>「経営者の要求が不明確だからだ」と、IT部門もITベンダーも言いたいのだろうが、ビジネスがコンピュータなしで成立した合理化時代ならまだしも、ITとビジネスが密接な関係にあった今、効果が見えない投資や開発期間の長期化は許されない
何がおっしゃりたいのかまったく分かりませんが? 経営者はPC音痴だから分からなくて当然と言う事でしょうか? 何故多くのIT戦略に積極的な企業がCIOを経営陣の中に置くのか分かりますか?本来下っ端の実働部隊でしかないIT部門に何を過大な期待をしてるんでしょうか?

>>経営者が求めているのはITシステムの導入そのものではなく、業績を伸ばすためのビジネスの仕組みなのである
再度確認させてください。業績を伸ばす仕組みを考えることを除くとすると、経営者の仕事って何なのよ?業績を伸ばす仕組みを考えることと、それをテクノロジーを使用してどのように実装させるかはまったく別問題ですよね?

で?その結果がIT部門の解体っすか?
やる気が無いならそれでも結構。でもIT化を真剣に考えるなら、もっともっとお金と人と時間をかけて、ちゃんとやって下さい。

2007年3月19日月曜日

TCP/IPプラットフォームを懐疑する 6 (割れ鍋に綴じ蓋)

セキュリティー問題がこれほどまでクローズアップされた時代は無いのではないか? 市民社会の変容によって引き起こされるというレベルの話ではない。PCとインターネットというデバイスが特異点となってセキュリティー問題を噴出させているという話だ。

シスコシステムズ、IPテレフォニー製品の脆弱性を警告
http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20343743,00.htm

ともすれば、私たちはこういった問題に無反応になってしまっていないだろうか? あまりにもよくある話で、麻痺してしまってないか? 

マイクロソフトの月例セキュリティー情報、今月は「なし」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070309/264436/

マイクロソフトは毎月毎月セキュリティー上の危険を補うためにパッチを発行している。発行されないとなれば、それがニュースになる世の中だ。今時アンチウイルスソフトも入れずにインターネットに接続している人も少数派だろう、Winnyによる情報漏洩問題はまだまだ尾を引きずり、今もあちこちでくすぶっているし、ウェブからの個人情報流出はすっかり日常的なニュースの一つになった。いったいこの社会は情報の流出を間逃れようとどれほどのコストを費やし、また今後費やしていくつもりなのか?  
電話の世界もVoIPプロダクトの普及によって、この過酷なセキュリティーもぐら叩きゲームの世界に晒されることになるのは必至だ。もちろん、今までの電話システムはセキュリティー問題とは無縁だったと言うつもりはさらさらない。盗聴や成りすましなどが社会問題となっていることは承知している。盗聴器の進化によってその手の事件は上昇傾向にあるのかもしれない。それでも今までは、TDMのブラックボックス性があったからこそ、悪質な犯罪行為や愉快犯もこの程度で済んでいると言えないだろうか?
VoIP製品の浸透とユーザーの拡大に伴ってセキュリティー上の脅威は今後とも増していくはずである。透明性の高い標準化されたプラットフォームは悪意あるツールを次々と生み出すことだろうし、ソフトウェアのバグが個人情報や通話内容、通話記録などをネット上にばら撒くであろう事は十分予想される。VoIPの普及は益々高いセキュリティーリスクとそれに見合うコストを要求してくるはずだ。

2007年3月9日金曜日

TCP/IPプラットフォームを懐疑する 5 (IP電話をこき下ろしてみるテスト)

米国某A社のIP電話機はUTPを抜いて別のVLAN上のスイッチへ繋いで起動させてしまうと動かなくなってしまうという話を聞いた事がある。ポートからの情報を自動的に読み、その誤った情報を元に起動がかかってしまうのが原因らしい。そして、一度そうなってしまうとA社のエンジニアですらリセットすることができないとか・・・
デスクレイアウトの変更やユーザーの席替えなどによる移設作業というのはPBXやPCサポートをしている者にとって馴染みの深いものだ。統合配線のなされている客先ならばまだしも、各々のベンダーがそれぞれケーブルを敷設しているような現場はうんざりさせられる事この上ない。オフィス用IP電話の売り文句で一時期よく耳にしたものの中で印象深かったのは「移設時の作業量の軽減によるコストセービング」だった。アプリケーションとの連携など、売り所は他にもあっただろうが、現場の人間に直結する内容なだけに興味深かった。
移設先にネットワークに繋がるポートさえあれば、引っこ抜いて運んでぶっ刺して移設終了であって、煩わしいポート管理もジャンパーリストの更新も不要、ユーザーが自分で持っていって繋げればそれで済む、もう俺たちフィールドエンジニアなんてお払い箱になって、それは確かに大きなコスト削減に繋がる・・・・はずなのに! 冒頭の話へ戻って行くわけだ。
考えてみれば、ネットワークのポートだって誰かがケーブルを敷設して、パッチコードを当てて、フロアーボックスまで繋げておかなければならないわけだ。パッチをミスるヤツもいれば、スイッチの設定を間違えたり勘違いしたりするヤツもいるだろう。レガシーの電話系機器だって最近はフリーシート機能を持つものも多く、Log off / log on で特定のユーザーデータを呼び出るのだから特定の加入者ポートにこだわる必要も無いのだし、端末さえ持っていけばOKという面での遜色は無いように思う。さらに、電源を供給できるようなスイッチを使用したり、VLANを明確に分離して運用したりするならば、それこそデータとボイスは個別に管理しなくてはならず、レガシーなPBXがあった頃となんら変わりないんじゃないの?むしろややこしくなったんじゃないか?っという疑問を抱くのも当然ではないだろうか? その上さらに上記のようなキテレツなバグも合間って、「ボイスをIPに乗せるメリットってなんだったけ?」という根源的な問いに至ったのだった。

((オフィスのプリンターで印刷を開始すると途端にIP電話が使えなくなるという、それまでには考えられないような障害も聞いたことがある。原因をプリンターであると特定するまでのスッタモンダは他人事だから笑い話だが。。。)

2007年3月7日水曜日

TCP/IPプラットフォームを懐疑する 4 (複雑怪奇ってステキ?)

IPネットワークの汎用性の高さは煩雑な手続きを土台として成り立っていると言ったら反論されてしまうだろうか?
TDMとパケット通信の最大の違いは、通信経路確立までの手続き方法にある。TDMは通信開始前にエンドポイントまでのすべての経路が確立するよう手続きを行い、一度確立された経路は常に占有され、通信完了の指示があるまで基本的に変更されることは無い。後はそこにデータを流し込んでいくだけだ。通信中は時間スイッチと空間スイッチが定められた動作を行うものの、特に手続きを必要としない。一方パケット通信は小分けされたデータの各々のヘッダー情報を元に通信経路の確定やインフラ機器の差異を吸収する。言い換えれば、一つ一つのパケットがインフラデバイス間を通るたびに毎回毎回手続きを踏む必要があるという事だ。だからこそ、さまざまな種類のデータを限られた回線リソースでやり取りできるわけだが、そこに即時性の高い高密度な情報が流されることなどないと想定したからこそのデザインであるとも言える。

ほんの数年でネットワークの帯域は信じられないほど拡大され、無圧縮の音声帯域64Kなど取るに足らないほど小さく見えるようになった。L2 スイッチはすっかり珍しい存在ではなくなり、むしろバカHUBを探し出すほうが難しくなったし、ルーターの処理能力も格段にアップした。それでも足りなければL3 スイッチを使ってもいい。遅延のボトルネックを解消するために様々なプロトコルも考案された・・・

それって・・・効率の悪さをCPUパワーでゴリ押ししてるだけ? ぶっとい帯域を確保して、デバイスの高性能化頼みで、それでも足りないと新しいプロトコルを考案して、そこまでしてようやく現時点の所まできたわけだ。これをどう評価するか、また一つIPネットワークの汎用性が高まってよかったよかった、なのか、はたまた、スマートじゃねーなー、なのか。

利用者に求められるスキルについて

最新のものであろうと枯れたアーキテクチャであろうと、あらゆるデバイスはその利用者にある程度のスキルを求めるのは当然だ。黒電話だって何も知らない人は受話器を上げて特定の番号をダイヤルすればいいと直感で気づけるものじゃない。
では、下記の記事のような事例ならばどうなのか。

利用者にスキルを求める?“ひかり電話”
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20070305/263856/

ルーターのファームをアップグレードする程度の知識はユーザーに求められて当然と言えるのか言えないのか、私には分からない。だが総じてPCやネットのユーザーは、電話やテレビなどの専用機を利用する場合よりも高いスキルを求められる傾向にある、というよりも、高いスキルがあればあるほど快適に使用できるように作られている、と言っていいかもしれない。「できる!電話機」なんて本を書店で見たことが無いのは当然のことだ。「できない!」人が居るからこそ、「できる!」ようになるためのスキルを学ばなければならないのだから。
それが”電話”であっても例外ではない。専用機を使用せず、PCやネットを介してその機能をしようする場合、それ相応の知識が求められることは覚悟しなければならないだろう。むしろここで私が問題としたいのは、ユーザーに高いスキルを求めるようなインフラがデフォルトになることの是非である。

もちろん、そのような煩わしさを何らかの仕組みやソフトの改良によって改善することは可能だし、将来的にもそのような方向性で進んでいるのも確かなことだ。10年20年前のPCやネットの環境と今日を見比べてみれば、ユーザーに求められる知識量は格段に減っている。それによって geek でない一般人ユーザーの流入、市場の拡大という好循環を生んだことは間違いない。しかし、そのためのソフト・ハードの開発や改良に私たちは莫大なコストを支払っているんですよって事も十分考慮する必要がある。

そんなコストを支払いつつ、それでもなお高いスキルを要求するシステムは(コンシューマ市場にとって)是ですか?非ですか?

2007年3月5日月曜日

TCP/IPプラットフォームを懐疑する 3 (IPマンセー?)

IP / パケット通信がデバイスの高速化を受けてTDMの牙城を突き崩しつつある。音声通信インフラの世界は今後ますますネットワーク側へとシフトしていくはずだ。このトレンドはもちろんTDMに限った物ではない。YouTubeを持ち出すまでも無く、TV Broadcastをネットワークに乗せる事も今では珍しくも無いし、日本でこそ主流ではないがネットラジオもメディアとしてすっかり確立しているようにみえる。ストリーミングの世界だけではなく、Podcastも含めてTVや映画などのコンテンツをオンデマンドに配信するサービスも(ビジネスとして成功しているかどうかは別として)次々生まれている。パケット通信の利便性、整備の整ったインターネットインフラ、非常にオープンな仕組み、そしてそれらを構成するデバイスの価格の低下があいまって、この流れを押しとどめるものなど何も無いように思える。
でも、だからこそあえて苦言を呈したくなるのは私がへそ曲がりだからでしょうか?

通信デバイスの高速化によって音声乗っけてもへっちゃらになったなんて、逆にいえば効率の悪いやり方だけどCPUパワーでゴリ押ししてるってだけじゃないの? とか、オープンな仕組みって、それのおかげでセキュリティーレベルがた落ちじゃん!! とか、コストベネフィットとか言うけど本当かな~? とかなんとか・・・
今更TDMの復権を望んでいるわけではない。だがIPネットワークこそが最適解だと思えないだけだ。

2007年2月27日火曜日

TCP/IPプラットフォームを懐疑する 2 (TDM vs Packet?)

音声通信のIPへの統合はすでに規定路線となって久しいが、それは本当にベストソリューションなのだろうか? NGN・・・って持ち出そうにも情報収集もしてないし、正直言ってあまり興味が無い。そもそもNTTのやることなんて、マルチメディア通信とか、B-ISDN構想とか持ち出すまでもなくコケまくり、などと悪口の一つも言いたくなってしまうのがその一因だろう。
それはさて置き、
IP網に限らず、すべてのパケット通信はデータ通信を効率的に行うために生まれた。少なくともパケット通信がサービスを開始した当時、データ通信のトラフィックは比較的少なく、コンピュータも非力だった為、TDMの回線を使用することは非常に効率が悪く、コスト高だった。そのころのデータ通信といえば、バッチ処理などで生じたデータをちょっと送るだけというのが主流で、また即時性も多くは求められなかったように思う。そんな牧歌的な時代にパケット通信は生まれたのだ。(本当か?) 情報をその都度適宜な大きさに分割し、個々のヘッダーを元に送り先へ届けるという概念そのものは、現在のIP網にそのまま受け継がれている。TDMの場合、万が一途中の情報がノイズなどによって壊されてしまっても、それを修復する手続きはチェックビット程度しかないが、パケット通信の場合、即時性に劣る代わりにヘッダー情報を元にした手続きによって漏れなくデータを送り先に届けることができるメリットがある。その反面、TDMには即時性と、多量のデータをすばやく送り届ける能力でパケット通信をはるかに凌駕していた。そのような平和な住み分けを突き崩し無効化したのはテクノロジーの急速な進化だった。
パケット通信を実現させるデバイスの高速化やインテリジェンスの向上によって、TDMのアドバンテージは下がる一方だ。そして、標準化団体によるプロトコルの制定がメーカーの開発スピードをさらに加速させていく。TDMの場合、個々のメーカー内で基本的なプロトコルの制定も独自に行われてきた、それはTDMが本来持つ機構上の性質のためと言っていいだろう。他社製品との相互接続性を考慮すること自体TDMにとっては想定外なのだ。結果として、その開発にかかる費用面でもスピードの面でもパケット通信勢に太刀打ちできなくなってしまった。

2007年2月26日月曜日

TCP/IPプラットフォームを懐疑する 1 (TDMはもういらないのか?)

TDMである。いわずと知れた Time Division Multiplex、時分割多重化方式である。何でもかんでもIPに乗せたがる昨今、顧みられることの少なくなったTDM。パケット通信だなんだと言ったって、所詮TDMのアイデアから派生した一概念じゃねーか、とか負け惜しみにしか聞こえないようなTDM。俺の時代は終わったな、なんて感傷もとっくの昔に過ぎ去った感のある、そんなTDM。だか、本当にもう過去の遺物として葬られてしまうのだろうか。
もちろん基幹系の通信網ではまだまだ現役かもしれないが、それにしたところでWDMにお株を奪われてしまっているかもしれないが(最近、ソッチ系の事情に疎くなって久しい) ディジタル通信網がアナログ交換機を駆逐したようにTDMの命運はもはや尽きたのだろうか。

確かに従来通りのTDM製品が息を吹き返して花形プロダクトになることはもはや無いだろう。しかし、このままIPインフラがすべてを呑み込み順風満帆に拡大し続けるかどうか、それは疑問だ。

2007年2月21日水曜日

雑感

既存の内線電話機でSkype通話
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070208/261440/

やはり皆さん考えることは同じという事で、詳細は分からないが、この文面を見る限り、まだまだ過渡的なプロトタイプ商品だと感じる。

イーアクセスモバイルはデータのみで事業を開始する・・・ということは、無線LANのHot Spotとどの程度差別化できるのだろうか? あまり興味ないので大してニュースも見てないんですけど・・・ 千元さんにはがんばって欲しい限りです。

2007年2月2日金曜日

IMが市場を焼き尽くす日は来るか?

VoIMが普及の兆し,課題は相互運用性の確立
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070202/260433/

これは機器ベンダーや通信キャリアにとっては最大の脅威なんじゃなかろうか? 

コンシューマー向けIMの動向には興味が無いので、企業向けにどう売り込み、どうお金を取ってくるのか、その部分にどうしても目が行ってしまうのだが、今のところ大きな動きは見えてこないように思う。相互運用の確立が課題なんですかね? 企業向けの社内コミュニケーションに用途を限定してしまうなら、逆にどうやってオープンなIMネットワークから遮断し管理するかを問題にした方がいいように思う。もちろん10年ぐらいたって、「固定電話なんか要らない、IMがあればいい」っていう世界がやってこないとも限らないし、そうならば相互運用は重要な課題になるだろうけども。

http://www.prnewswire.com/cgi-bin/stories.pl?ACCT=104&STORY=/www/story/02-01-2007/0004518410&EDATE
このリポートをちょっと読んでみたくなった。けど、$900って・・・

2007年1月26日金曜日

Voice系の憂鬱

http://www.networkworld.jp/netshinso/-/56309.html
通信・ネットワークの深層
第45回 IP電話が企業に浸透しないほんとうの理由

私は売る側の人間なのでついついこういった側面には目をつぶってしまいがちだ。要約すれば、人々はもはや音声系のデバイスやサービスに真新しいものなんか期待してませんよ、っという身も蓋もない話です。 顧客側とメーカー側の温度差を見つめなおす作業が自分自身にとってとても重要だと、あらためて自覚しなくてはならないだろう。 音声を使ったコミュニケーションに対する重要度、依存度は下がる一方で、まったく無くなってしまう事は無いにせよ、今後顧客を振り向かせるのは容易ではない。
多くの人たちが何年もの間待ち望んだIP電話におけるキラーアプリなんて本当は存在する可能性すらなくて、電話やその他音声通信デバイスの形態そのものを叩き壊しかねないSkypeの方がよっぽど将来性がありそうですし・・・ あまり後ろ向きのことばかり考えたくは無いのですが、コッチの業界にいる人たちにとって、この閉塞感は多かれ少なかれリアルに響いてくるのではないでしょうか。

それにしてもSkypeってもっと面白いプラットフォームになり得るんじゃないだろうか? APIも公開されていることだし、この際、Skype上で動作するいろんなデバイスやソフトを作ってみるのも面白いかもしれない・・・
それがビジネスになるかは微妙だけど。

2007年1月19日金曜日

IT部を持ってる日本の会社の割合はどうなのよ

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070119/259130/

日本国内のIT市場の成長率は海外の平均を大きく下回る模様だとか・・・

>国内のIT市場の成長率が平均を下回っている背景について、
>「国内企業の経営者がITに対してあまり理解していないことや、
>IT投資をコストととらえているため」と分析する。

企業トップに関わらず、大多数の人のITに対する無理解があって、中堅以上の会社であっても総務部が片手間にシステムの面倒を見ていたりするケースが多い様に思います。「別にITとか関係ないよ」と経営者が考えていても、社員一人ひとりがPCを持ち、LANが組まれていて、小規模でもPBXがあって、個々人に仕事用の携帯を持たせる、というぐらいは今や普通の光景なのも事実。10年前、20年前を振り返ってみればシステムは着々と複雑さを増していっているわけです。それにもかかわらず、稟議が下りないという言い訳を繰り返して、10年落ちの保守もとっくに切れてしまったようなデバイスやシステムを現役で使用し、頑なに運用方法や業務スタイルを変えようとしない人たち。グローバリゼーションだ、リストラだ、成果主義だと口先だけ手先だけの改革を施しても、つまるところ何も変わってないのではと勘ぐりたくなってしまう。
自腹を切ってITの見直しを行い、業務スタイルのリストラクチャリングにまで踏み込んで、更なる成果をどうやって勝ち取るか。いいかげん考え始めてくれてもいいんじゃないでしょうか?
売り手側の勝手な主張ですけども・・・

技術大国日本をささえる企業の蓋を開くと、High Tech どころか失笑を買いかねないグズグズなOld システムが顔を出す・・・日本人エンジニアの一人として何だか恥ずかしささえ感じる今日この頃です。

2007年1月15日月曜日

雑記

http://de-club.net/rbz/
ディアゴスティーニの週間ロボザック、定期購読を申し込んでしまった・・・・ これって・・・敷居が低すぎだろっ!!
馬鹿高い既製品のロボットキット買ってきてモーションだけプログラミングですか? へー、高尚な趣味ですこと。マイコンボードから制御ソフトまで自作してナンボだろ!! プラ板削ってカウルだけ自作してるんだ、なるほどかっこいいねって、寝言は寝てから言えっ!! 
っとか斜め後方で斜に構えていた私も撃沈です。罰としてこれからは心を入れ替え、ほんのちょっとずつ配給されてくる部品をちまちまと、1年近くかけながら組上げ、お仲間に入れさせてもらいたいと、こう考えている次第です。

2007年1月12日金曜日

モバイル覚書

iPhoneはずいぶん注目が集まってるけど、日本にはやって来るんだろうか? GSMで統一された感のある海外と違い、キャリア主体の独自方式が幅を利かす日本にあのデバイスをそのまま持ってくるわけにはいかないからね。ハードの設計まで作り変えて供給してくるほどの市場性を日本に見出すのかどうか疑問だ。

やるとすればBlackberryみたいに特定のキャリアと手を組んじゃうのが一番簡単なのかもしれないけど、NokiaのE61みたいなやり方が個人的には面白いと思う・・・ それにしても、あらためてAppleのブランディング力の強さを感じた。おれも欲しい。

Nokia E61
http://www.nokia.co.jp/phones/e61/index.shtml

2007年1月4日木曜日

インスタント・コミュニケーション・ツールが気になる

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0612/25/news007.html
ビジネス向けのメッセンジャー Biz IM市場の幕開け

インターネット・メッセンジャーがビジネスツールとして注目されるのは当然として、でも日本の企業環境の中にどれだけ浸透するんだろうか?っていう疑問は残る。IMなんて何ら目新しくもないし、インスタント・コミュニケーション・ツールはIMだけじゃなくて今までだって色々あった分けだけど、企業としての導入はあまり芳しくなかったように思う。結局、おじさんたちはPBXの内線電話が大好きっていう単純なことなのかもしれないけど、私には日本人のコミュニケーションスタイルに起因する何やらモヤモヤした雰囲気が大きな阻害要因になっているように感じられてならない。

電話会議よりも、一つ所に集まって会議を開きたがるような、インターコムよりも相手が応答するのを待つ電話機を好むような、そして、IMでいきなりメッセージを送りつけるよりも相手が都合のいいときに開くことのできるEmailを好むような・・・

いづれにせよ、社内のざっくばらんで済ませればいいようなコミュニケーションに過剰なPolitenessを求める心性が日本人の中にあるように思えてならない。まあ、それが過剰なのか、欧米人というか大陸の人たちが礼儀知らずなのか知らないけどね。とにかくこの手のテクノロジーをどうすれば日本企業に売り込めるのか、今後の動向が見逃せません。