2007年3月9日金曜日

TCP/IPプラットフォームを懐疑する 5 (IP電話をこき下ろしてみるテスト)

米国某A社のIP電話機はUTPを抜いて別のVLAN上のスイッチへ繋いで起動させてしまうと動かなくなってしまうという話を聞いた事がある。ポートからの情報を自動的に読み、その誤った情報を元に起動がかかってしまうのが原因らしい。そして、一度そうなってしまうとA社のエンジニアですらリセットすることができないとか・・・
デスクレイアウトの変更やユーザーの席替えなどによる移設作業というのはPBXやPCサポートをしている者にとって馴染みの深いものだ。統合配線のなされている客先ならばまだしも、各々のベンダーがそれぞれケーブルを敷設しているような現場はうんざりさせられる事この上ない。オフィス用IP電話の売り文句で一時期よく耳にしたものの中で印象深かったのは「移設時の作業量の軽減によるコストセービング」だった。アプリケーションとの連携など、売り所は他にもあっただろうが、現場の人間に直結する内容なだけに興味深かった。
移設先にネットワークに繋がるポートさえあれば、引っこ抜いて運んでぶっ刺して移設終了であって、煩わしいポート管理もジャンパーリストの更新も不要、ユーザーが自分で持っていって繋げればそれで済む、もう俺たちフィールドエンジニアなんてお払い箱になって、それは確かに大きなコスト削減に繋がる・・・・はずなのに! 冒頭の話へ戻って行くわけだ。
考えてみれば、ネットワークのポートだって誰かがケーブルを敷設して、パッチコードを当てて、フロアーボックスまで繋げておかなければならないわけだ。パッチをミスるヤツもいれば、スイッチの設定を間違えたり勘違いしたりするヤツもいるだろう。レガシーの電話系機器だって最近はフリーシート機能を持つものも多く、Log off / log on で特定のユーザーデータを呼び出るのだから特定の加入者ポートにこだわる必要も無いのだし、端末さえ持っていけばOKという面での遜色は無いように思う。さらに、電源を供給できるようなスイッチを使用したり、VLANを明確に分離して運用したりするならば、それこそデータとボイスは個別に管理しなくてはならず、レガシーなPBXがあった頃となんら変わりないんじゃないの?むしろややこしくなったんじゃないか?っという疑問を抱くのも当然ではないだろうか? その上さらに上記のようなキテレツなバグも合間って、「ボイスをIPに乗せるメリットってなんだったけ?」という根源的な問いに至ったのだった。

((オフィスのプリンターで印刷を開始すると途端にIP電話が使えなくなるという、それまでには考えられないような障害も聞いたことがある。原因をプリンターであると特定するまでのスッタモンダは他人事だから笑い話だが。。。)