2007年3月19日月曜日

TCP/IPプラットフォームを懐疑する 6 (割れ鍋に綴じ蓋)

セキュリティー問題がこれほどまでクローズアップされた時代は無いのではないか? 市民社会の変容によって引き起こされるというレベルの話ではない。PCとインターネットというデバイスが特異点となってセキュリティー問題を噴出させているという話だ。

シスコシステムズ、IPテレフォニー製品の脆弱性を警告
http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20343743,00.htm

ともすれば、私たちはこういった問題に無反応になってしまっていないだろうか? あまりにもよくある話で、麻痺してしまってないか? 

マイクロソフトの月例セキュリティー情報、今月は「なし」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070309/264436/

マイクロソフトは毎月毎月セキュリティー上の危険を補うためにパッチを発行している。発行されないとなれば、それがニュースになる世の中だ。今時アンチウイルスソフトも入れずにインターネットに接続している人も少数派だろう、Winnyによる情報漏洩問題はまだまだ尾を引きずり、今もあちこちでくすぶっているし、ウェブからの個人情報流出はすっかり日常的なニュースの一つになった。いったいこの社会は情報の流出を間逃れようとどれほどのコストを費やし、また今後費やしていくつもりなのか?  
電話の世界もVoIPプロダクトの普及によって、この過酷なセキュリティーもぐら叩きゲームの世界に晒されることになるのは必至だ。もちろん、今までの電話システムはセキュリティー問題とは無縁だったと言うつもりはさらさらない。盗聴や成りすましなどが社会問題となっていることは承知している。盗聴器の進化によってその手の事件は上昇傾向にあるのかもしれない。それでも今までは、TDMのブラックボックス性があったからこそ、悪質な犯罪行為や愉快犯もこの程度で済んでいると言えないだろうか?
VoIP製品の浸透とユーザーの拡大に伴ってセキュリティー上の脅威は今後とも増していくはずである。透明性の高い標準化されたプラットフォームは悪意あるツールを次々と生み出すことだろうし、ソフトウェアのバグが個人情報や通話内容、通話記録などをネット上にばら撒くであろう事は十分予想される。VoIPの普及は益々高いセキュリティーリスクとそれに見合うコストを要求してくるはずだ。