2007年5月17日木曜日

テレコムに期待されることって結局はディスカウントだけなんかいね

電話だけに限らずとも、テレコム製品やサービスは押しなべて枯れた存在だ。交換手が手動で接続先にジャックを刺していた時代から、クロスバー自動交換機が現れたあたりの頃ならまだまだ色んな期待をされ、目新しさもあったかも知れない。しかし、それがTDMによるデジタル化を経て、VoIPへ、だのなんだのと言ったところでどれだけの新規性とインパクトをユーザーにもたらしたのか、はなはだ疑問である。要するに機構や仕組みをいくら挿げ替えても、デバイスが刷新されても、音声伝送という基本サービスそのものに誰も目新しさを感じていないのだ。新しい技術を導入したところで、それで実現できるのはすでに見知ったおなじみの物では致し方ない。

社内ITの愚痴としてよく聞かれる話の一つに、障害時のプレッシャーの違いというのがある。PCやネットワークがらみで障害が起こった時と、電話や音声サービス周りで障害が起こった時とでは、ユーザーの怒り方が違うというのだ。電話はいつ何時でも繋がって当たり前、それが繋がらないなんてふざけるな!という事なのだろう。そうはいっても障害ぐらい起こるのだ。特にVoIP機器はまだまだ発展途上であって、従来の枯れたTDMシステムと比べれば多くの問題を抱えている。しかし、そんな機構の違いなどユーザーにとって知ったことではない。 NTT東日本のひかり電話サービスの大規模障害もその一つではないだろうか? あの時、当然だがインターネット接続もダウンしていたのだが、ことさらに電話サービスが止まったことを強調されていると感じたのは私だけだろうか?
110番や119番なども含め、ライフラインとして電話が重要なインフラであるからこそ、繋がって当たり前でなければ困るし、障害時に強く非難されもするのだ。しかし、それだけの品質を維持していくためにはそれ相応のコストが必要になることを忘れてはならない。

マイラインが始まり、様々な規制緩和の結果、電話料金はかなり安くなった。さらにネットを使った様々なサービス、Skypeやjajahなどなど、によって集金構造は劇的な変化を見せている。携帯電話の値下げ競争も今日に始まったことではない。各社とも通話サービスなどそっちのけでWebやFelicaなど副次的サービスの充実に血道を上げているし、モバイルの世界でもネットを使った無料通話サービスが本格化するのはすぐだ。PBXベンダーもAsteriskに脅威を感じているだろうし、ビデオ会議システムはIMツールに取って代わられないように必死だろうし・・・

そして、それらすべての流れに共通するのは「音声通話サービスの無料化、または大幅な低価格化」に他ならないのだ。
音声通話に対していかに金を払わずに済ませるか、それがビジネス側やコンシューマーの要求だ。それを実現させるために私たちテレコム屋は己の牙城であった音声通話システムをネットワークサービスの一部門に矮小化せざるを得ないし、すでにそれが規定路線なのだ。インフラは誰か儲かってる人にアレしてもらって・・・