2007年3月30日金曜日

日本の世界ITランキングは14位に思うこと

日本の世界ITランキングは14位--世界経済フォーラム調査
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20346131,00.htm?ref=rss

日本がIT先進国と自認している方々は、そんな大間違いな認識を新たにすべきでしょう。日本は確かに工業や製造に秀でた能力を持っているし、その分野では未だに少なからぬアドバンテージを保持していると思う。(そう信じたいという気持ちも含めて) だが、そんな優れた工業製品を産出するトップ企業も含めて、多くの日本企業のIT分野への投資や導入事例は欧米企業の行うそれとはあまりにもかけ離れていてお話にもならない。インフラ面、特にブロードバンド回線の普及が目覚しい進歩を遂げたのは事実だが、インフラはあくまでもインフラに過ぎない事を肝に銘じる必要がある。
必ずしも欧米的IT促進事例がすばらしくて、日本はダメだと私は思わない。日本にはIT化に頼らなくても業務を強力に推進することの出来る人材と協調作業に適した文化があり、それらをさらに伸ばしていく方向で補助的にIT化を進めてゆけば十分だという気もする。問題なのは中途半端さなのではないだろうか?
ITとはテクノロジーの導入による作業の効率化だけを指すのではない。人が手で運ぶのを止めてベルトコンベアーを導入するのとは分けが違うのだ。IT化とは、業務フローや組織の改編、個々の意識の改革や、組織や会社のあり方まで問い直しながら、”技術革新と親和性のある仕組み”をトータルに生み出すことに他ならない。日本人は器用なばっかりに旧来のやり方に沿わせるようにITを導入してしまう傾向がある。カスタマイズだらけのオーダーメイドシステムを導入するものだからバカ高いし(それでも格安だと思いますけどね、あれだけのカスタマイズをそんな値段で出来ちゃうものかと驚くこと頻り)それに、きちんと作りこんであるから故障率も低く、10年物のデバイスが現役で生きているのもざらだ。そもそも手法を変えるつもりがないからシステムをリプレースする必要も無い。
それがいいのか悪いのか、私の稼業上、いい加減にリプレースしてくれよ、そんな古いシステム面倒見れる人を確保できねーよ!っと声を大にして言わせてもらいたい。

なぜか愚痴になってしまった・・・

独り言 「Asteriskねぇ・・・」

勉強不足なのでよく知りませんが、中小企業にはもってこいなんすかね? 自社で運用する気なら電話機をどこかから買ってきて、電話回線のインターフェースボードを買うか、キャリアのSIPに直接つなげるかすればOKだし、機能豊富で何かする度にライセンス買ってね(はーと)とか言われないし。。。

実験用にソフトのインストールだけしたけど電話機買う予算がないもんだからほったらかして、はや1年・・・どうしたもんか。

そういえば、某ハゲタカファンドにシテヤラレタと物議をかもした某銀行がPBXをAsteriskにリプレースしようとしてるって言う噂を聞いてから随分たつけどどうなったんだろう? 大規模導入ってだけでどうなのよ?って感じなのに、銀行業務に(トレーダーとか含めて)導入しちゃおうって言うんだからスゲーな、そりゃ日本人ITは逃げてくよなー。
まあ、その後どうなったのか知らないけど。

2007年3月26日月曜日

ITに対する日経新聞社の無理解を嘆く前に考えるべきこと

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20070326/266242/
ITに対する経営の無理解を嘆く前に考えるべきこと

日経の人たちってこういう論調が好きだね~
>>。「○×システムを導入しないと、企業は生き残れない」といった脅し文句が効き、
その脅し文句を掲載することで儲けてた提灯記事満載雑誌を発行してる会社はどこでしたっけ? 

>>ITベンダーは周りの無理解を嘆いてばかりいないで、企業情報システムという仕事への理解を広く得るためにはどうすればよいのかを、そろそろ真剣に考えた方がよい。
言わんとしている事の結論は、「あたくしどもの雑誌では提灯記事の出稿をどしどしお待ちしておりま~す」って事ですか? 理解を広く得るって、マスコミの力でも使わないと無理ですもんね。なるほど納得です。

2007年3月20日火曜日

IT部門の解体を考える!? いや、考えるな!

IT部門の解体を考える
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20070319/265568/

>> 経営者らの「IT部門に任せておけば大丈夫」、IT部門の「ITベンダーに任せておけば大丈夫」という信頼関係が崩れてしまったという認識が根底にある。
こんな信頼関係(?)が今まであったのかどうかはこの際置いておいて、さらに経営者やユーザーが何をもって「IT部門に任せておけば大丈夫」と考えてしまったのかも論じずに、あくまでIT部門・ベンダーの抗弁として言わせてもらうならば、「業績を伸ばす仕組みを作り上げる」のは貴方たちのお仕事で、こちとらソイツをテクノロジーでもってどうやって落とし込んでいきましょうかね?ってのを考えるのが仕事なんでぃ!と、こうなるわけですが、そのあたりの事をどのようにお考えなのでしょうか?

>>日本のIT投資額は米国の3分の1強、全世界の10%強を占めている。ほぼGDPと同じウエートで、これだけのIT投資をしても期待した成果が上がっていないとすれば、ユーザーが最も必要としているところにIT投資を振り向けられていない、海外より高い商品やサービスを購入している、などといった要因が容易に推測できる。

「ユーザーが最も必要としているところにIT投資を振り向けられていない」のでしょう。製品単価の高低はマスで見れば誤差の範囲だと思いますので、原因はそこにあるのではないでしょうか?
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070123/126794/
>>日本のIT投資額は米国に次いで世界第2位であるが,GDPに対する割合は,英国,ドイツ,フランスよりも低い
>>経理や事務担当の役員が責任範囲の一部として情報システム部門をマネジメントしているケースが多い
>>米国企業ではERPパッケージを導入し,業務をERPパッケージに合わせる組織文化が日本に比べて強い
こういった指摘もある事を十分念頭に置いておきたい。
そもそも、IT投資をどこに振り向けるのか決定するのはIT部門なんですか?まさかベンダーの言いなりなんてこと無いですよね?

>>ユーザー企業の経営戦略にも左右されるが、ITベンダー自身の生産性の低さという問題も隠せない
本当ですか?無茶な要求を突きつけておいて生産性が低いとか言ってないですよね?保守運用コストが高いとおっしゃるが、導入時から保守契約をきちんと結んでおけばコストの上限はおのずと見えてくるのに、それをケチッたがために思いもかけぬ出費を強いられたなんて事例は、まさか念頭に置いてないでしょうね?

>>IT部門は細かな部分のカスタマイズにこだわり過ぎるというのだ。「ユーザー部門の声に応えるため」というのがIT部門の言い分だろうが、もしその投資が無駄な領域に向かっているとしたら、売り上げや利益をいかに伸ばすかを考えている経営者らが不満を募らせるだけだ
IT部門に文句を言う筋合いの話じゃないでしょうに。明確な戦略に基づいて業務フローの見直しまで踏み込まない経営側の無責任をこそ問題視すべきで、これじゃあ旧来のやり方を変えたがらないうるさ方の要求に寝る間も惜しんで苦労する方々が浮かばれませんよ。

>>「経営者の要求が不明確だからだ」と、IT部門もITベンダーも言いたいのだろうが、ビジネスがコンピュータなしで成立した合理化時代ならまだしも、ITとビジネスが密接な関係にあった今、効果が見えない投資や開発期間の長期化は許されない
何がおっしゃりたいのかまったく分かりませんが? 経営者はPC音痴だから分からなくて当然と言う事でしょうか? 何故多くのIT戦略に積極的な企業がCIOを経営陣の中に置くのか分かりますか?本来下っ端の実働部隊でしかないIT部門に何を過大な期待をしてるんでしょうか?

>>経営者が求めているのはITシステムの導入そのものではなく、業績を伸ばすためのビジネスの仕組みなのである
再度確認させてください。業績を伸ばす仕組みを考えることを除くとすると、経営者の仕事って何なのよ?業績を伸ばす仕組みを考えることと、それをテクノロジーを使用してどのように実装させるかはまったく別問題ですよね?

で?その結果がIT部門の解体っすか?
やる気が無いならそれでも結構。でもIT化を真剣に考えるなら、もっともっとお金と人と時間をかけて、ちゃんとやって下さい。

2007年3月19日月曜日

TCP/IPプラットフォームを懐疑する 6 (割れ鍋に綴じ蓋)

セキュリティー問題がこれほどまでクローズアップされた時代は無いのではないか? 市民社会の変容によって引き起こされるというレベルの話ではない。PCとインターネットというデバイスが特異点となってセキュリティー問題を噴出させているという話だ。

シスコシステムズ、IPテレフォニー製品の脆弱性を警告
http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20343743,00.htm

ともすれば、私たちはこういった問題に無反応になってしまっていないだろうか? あまりにもよくある話で、麻痺してしまってないか? 

マイクロソフトの月例セキュリティー情報、今月は「なし」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070309/264436/

マイクロソフトは毎月毎月セキュリティー上の危険を補うためにパッチを発行している。発行されないとなれば、それがニュースになる世の中だ。今時アンチウイルスソフトも入れずにインターネットに接続している人も少数派だろう、Winnyによる情報漏洩問題はまだまだ尾を引きずり、今もあちこちでくすぶっているし、ウェブからの個人情報流出はすっかり日常的なニュースの一つになった。いったいこの社会は情報の流出を間逃れようとどれほどのコストを費やし、また今後費やしていくつもりなのか?  
電話の世界もVoIPプロダクトの普及によって、この過酷なセキュリティーもぐら叩きゲームの世界に晒されることになるのは必至だ。もちろん、今までの電話システムはセキュリティー問題とは無縁だったと言うつもりはさらさらない。盗聴や成りすましなどが社会問題となっていることは承知している。盗聴器の進化によってその手の事件は上昇傾向にあるのかもしれない。それでも今までは、TDMのブラックボックス性があったからこそ、悪質な犯罪行為や愉快犯もこの程度で済んでいると言えないだろうか?
VoIP製品の浸透とユーザーの拡大に伴ってセキュリティー上の脅威は今後とも増していくはずである。透明性の高い標準化されたプラットフォームは悪意あるツールを次々と生み出すことだろうし、ソフトウェアのバグが個人情報や通話内容、通話記録などをネット上にばら撒くであろう事は十分予想される。VoIPの普及は益々高いセキュリティーリスクとそれに見合うコストを要求してくるはずだ。

2007年3月9日金曜日

TCP/IPプラットフォームを懐疑する 5 (IP電話をこき下ろしてみるテスト)

米国某A社のIP電話機はUTPを抜いて別のVLAN上のスイッチへ繋いで起動させてしまうと動かなくなってしまうという話を聞いた事がある。ポートからの情報を自動的に読み、その誤った情報を元に起動がかかってしまうのが原因らしい。そして、一度そうなってしまうとA社のエンジニアですらリセットすることができないとか・・・
デスクレイアウトの変更やユーザーの席替えなどによる移設作業というのはPBXやPCサポートをしている者にとって馴染みの深いものだ。統合配線のなされている客先ならばまだしも、各々のベンダーがそれぞれケーブルを敷設しているような現場はうんざりさせられる事この上ない。オフィス用IP電話の売り文句で一時期よく耳にしたものの中で印象深かったのは「移設時の作業量の軽減によるコストセービング」だった。アプリケーションとの連携など、売り所は他にもあっただろうが、現場の人間に直結する内容なだけに興味深かった。
移設先にネットワークに繋がるポートさえあれば、引っこ抜いて運んでぶっ刺して移設終了であって、煩わしいポート管理もジャンパーリストの更新も不要、ユーザーが自分で持っていって繋げればそれで済む、もう俺たちフィールドエンジニアなんてお払い箱になって、それは確かに大きなコスト削減に繋がる・・・・はずなのに! 冒頭の話へ戻って行くわけだ。
考えてみれば、ネットワークのポートだって誰かがケーブルを敷設して、パッチコードを当てて、フロアーボックスまで繋げておかなければならないわけだ。パッチをミスるヤツもいれば、スイッチの設定を間違えたり勘違いしたりするヤツもいるだろう。レガシーの電話系機器だって最近はフリーシート機能を持つものも多く、Log off / log on で特定のユーザーデータを呼び出るのだから特定の加入者ポートにこだわる必要も無いのだし、端末さえ持っていけばOKという面での遜色は無いように思う。さらに、電源を供給できるようなスイッチを使用したり、VLANを明確に分離して運用したりするならば、それこそデータとボイスは個別に管理しなくてはならず、レガシーなPBXがあった頃となんら変わりないんじゃないの?むしろややこしくなったんじゃないか?っという疑問を抱くのも当然ではないだろうか? その上さらに上記のようなキテレツなバグも合間って、「ボイスをIPに乗せるメリットってなんだったけ?」という根源的な問いに至ったのだった。

((オフィスのプリンターで印刷を開始すると途端にIP電話が使えなくなるという、それまでには考えられないような障害も聞いたことがある。原因をプリンターであると特定するまでのスッタモンダは他人事だから笑い話だが。。。)

2007年3月7日水曜日

TCP/IPプラットフォームを懐疑する 4 (複雑怪奇ってステキ?)

IPネットワークの汎用性の高さは煩雑な手続きを土台として成り立っていると言ったら反論されてしまうだろうか?
TDMとパケット通信の最大の違いは、通信経路確立までの手続き方法にある。TDMは通信開始前にエンドポイントまでのすべての経路が確立するよう手続きを行い、一度確立された経路は常に占有され、通信完了の指示があるまで基本的に変更されることは無い。後はそこにデータを流し込んでいくだけだ。通信中は時間スイッチと空間スイッチが定められた動作を行うものの、特に手続きを必要としない。一方パケット通信は小分けされたデータの各々のヘッダー情報を元に通信経路の確定やインフラ機器の差異を吸収する。言い換えれば、一つ一つのパケットがインフラデバイス間を通るたびに毎回毎回手続きを踏む必要があるという事だ。だからこそ、さまざまな種類のデータを限られた回線リソースでやり取りできるわけだが、そこに即時性の高い高密度な情報が流されることなどないと想定したからこそのデザインであるとも言える。

ほんの数年でネットワークの帯域は信じられないほど拡大され、無圧縮の音声帯域64Kなど取るに足らないほど小さく見えるようになった。L2 スイッチはすっかり珍しい存在ではなくなり、むしろバカHUBを探し出すほうが難しくなったし、ルーターの処理能力も格段にアップした。それでも足りなければL3 スイッチを使ってもいい。遅延のボトルネックを解消するために様々なプロトコルも考案された・・・

それって・・・効率の悪さをCPUパワーでゴリ押ししてるだけ? ぶっとい帯域を確保して、デバイスの高性能化頼みで、それでも足りないと新しいプロトコルを考案して、そこまでしてようやく現時点の所まできたわけだ。これをどう評価するか、また一つIPネットワークの汎用性が高まってよかったよかった、なのか、はたまた、スマートじゃねーなー、なのか。

利用者に求められるスキルについて

最新のものであろうと枯れたアーキテクチャであろうと、あらゆるデバイスはその利用者にある程度のスキルを求めるのは当然だ。黒電話だって何も知らない人は受話器を上げて特定の番号をダイヤルすればいいと直感で気づけるものじゃない。
では、下記の記事のような事例ならばどうなのか。

利用者にスキルを求める?“ひかり電話”
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20070305/263856/

ルーターのファームをアップグレードする程度の知識はユーザーに求められて当然と言えるのか言えないのか、私には分からない。だが総じてPCやネットのユーザーは、電話やテレビなどの専用機を利用する場合よりも高いスキルを求められる傾向にある、というよりも、高いスキルがあればあるほど快適に使用できるように作られている、と言っていいかもしれない。「できる!電話機」なんて本を書店で見たことが無いのは当然のことだ。「できない!」人が居るからこそ、「できる!」ようになるためのスキルを学ばなければならないのだから。
それが”電話”であっても例外ではない。専用機を使用せず、PCやネットを介してその機能をしようする場合、それ相応の知識が求められることは覚悟しなければならないだろう。むしろここで私が問題としたいのは、ユーザーに高いスキルを求めるようなインフラがデフォルトになることの是非である。

もちろん、そのような煩わしさを何らかの仕組みやソフトの改良によって改善することは可能だし、将来的にもそのような方向性で進んでいるのも確かなことだ。10年20年前のPCやネットの環境と今日を見比べてみれば、ユーザーに求められる知識量は格段に減っている。それによって geek でない一般人ユーザーの流入、市場の拡大という好循環を生んだことは間違いない。しかし、そのためのソフト・ハードの開発や改良に私たちは莫大なコストを支払っているんですよって事も十分考慮する必要がある。

そんなコストを支払いつつ、それでもなお高いスキルを要求するシステムは(コンシューマ市場にとって)是ですか?非ですか?

2007年3月5日月曜日

TCP/IPプラットフォームを懐疑する 3 (IPマンセー?)

IP / パケット通信がデバイスの高速化を受けてTDMの牙城を突き崩しつつある。音声通信インフラの世界は今後ますますネットワーク側へとシフトしていくはずだ。このトレンドはもちろんTDMに限った物ではない。YouTubeを持ち出すまでも無く、TV Broadcastをネットワークに乗せる事も今では珍しくも無いし、日本でこそ主流ではないがネットラジオもメディアとしてすっかり確立しているようにみえる。ストリーミングの世界だけではなく、Podcastも含めてTVや映画などのコンテンツをオンデマンドに配信するサービスも(ビジネスとして成功しているかどうかは別として)次々生まれている。パケット通信の利便性、整備の整ったインターネットインフラ、非常にオープンな仕組み、そしてそれらを構成するデバイスの価格の低下があいまって、この流れを押しとどめるものなど何も無いように思える。
でも、だからこそあえて苦言を呈したくなるのは私がへそ曲がりだからでしょうか?

通信デバイスの高速化によって音声乗っけてもへっちゃらになったなんて、逆にいえば効率の悪いやり方だけどCPUパワーでゴリ押ししてるってだけじゃないの? とか、オープンな仕組みって、それのおかげでセキュリティーレベルがた落ちじゃん!! とか、コストベネフィットとか言うけど本当かな~? とかなんとか・・・
今更TDMの復権を望んでいるわけではない。だがIPネットワークこそが最適解だと思えないだけだ。