2007年5月22日火曜日

日本のIT投資が煽られまくりの件

またこの手の記事かとウンザリだが、その分析結果はなかなか興味深かったのでメモって置くこととする。

http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/topic/2007/05/21/10311.html
IT投資による生産性、日本ではなぜ向上しない?-アクセンチュア調査

http://www.atmarkit.co.jp/news/200705/21/accenture.html
日本のIT生産性の低さは果たして改善できるのか

IT部門の貢献によって企業の生産性は向上しているか
日本 52%
米国 75%
IT投資と経営目標の整合性が取れているか
日本 取れている 4割
米国 取れている 8割
経営層とCIOが緊密に連携しているか
日本 連携が取れてる 43%
米国 連携が取れてる 79.5%
※ 業務部門よりもIT部門の管理職のほうが厳しい認識を抱いている

選任CIOが存在する割合は 5.8%

> ITによって企業価値創出や生産性向上のために何をすべきか分からないと回答した割合は日本の方が低いという。
本当かな?そもそも真剣に考えてないからこそこんな結果が出たのではないかと邪推したくなる。

> 社内システムの標準化努力が欠けており、さらにレガシーシステムとの兼ね合いでアプリケーションを分離できない
テレコムの分野でもいえる事だ。既存の古めかしい設備を残して基幹部分だけ刷新したいという案件は多いが、結局古いインターフェースやオペレーション方法が足かせとなってスマートなシステムを提案できずコスト高にも繋がる。

対策
1) CIOおよびIT部門の役割を明確化すること
2) IT投資マネジメントを確立すること
3) ITの人材不足に対して思い切った施策を講じること
4) それに伴い、全社的なIT戦略を明確化すること

総務部が片手間にシステムの面倒を見ているような企業はお話にもならないが非常に多いのが現状だ。一足飛びにCIOとか言われてもサッパリな経営者の方が日本には多いのではないだろうか? だからこそ、この手の記事や提言は2,3年たった後でも、合いも変わらず出て来るのだろうと思う。

いろいろあさっている時にこんな記事を穿り返してしまった。
http://www.atmarkit.co.jp/news/200606/07/abeam.html
2年経っても改善しないIT投資の難しさ、アビーム調査から 2006/6/7

去年の段階で2年前から改善しない・・・日本のIT投資ベタは事実として肌で感じるところだが、外資のコンサル会社にばかり指摘されているのも口惜しい限りだ。その癖、結局日経新聞系のIT記者たちが書き散らすのは前にも指摘したようなこんな記事なのだからタマラナイ。

http://telecowatch.blogspot.com/2007/03/it.html
IT部門の解体を考える!? いや、考えるな!

2007年5月21日月曜日

ガートナー: IT投資動向報告書2007年 -日本と世界-

http://japan.cnet.com/research/column/market/story/0,2000067181,20349062,00.htm
世界のIT投資マインドで日本は最下位、1位インド--ガートナー調べ

日本企業のITベタについては何を今更という感も無くはないが、こうも他国と比較されて最下位だと言われてしまうとむかっ腹も立つ。ガートナー自身がITコンサルなだけに、日本国内の危機感をあおってでもIT投資の活性化を図ろうとしているんじゃないかとか、そんなのは100%邪推です。

http://www.gartner.co.jp/press/pdf/pr20070308-01.pdf
彼らの掲げた7つの指標のうち、IT投資の増加率とIT予算の対年商比率で高いポイントが出せるのは当然IT後進国であって、すでにIT化の行き届いた国と、まだまだこれからの国とでは投資比率が大きく異なるのは間違いない。アメリカが8位という結果を見てもそれは明らかだろう。ただし、それだけでは日本の総合得点ブッチギリのビリッケツぶりは説明不能だ。問題はITの重要性を理解する経営者の不在に尽きると私は考えている。

きちんと機能しているCIOのいる日本企業がいったいどれだけあるだろうか? ITの重要性まで言わずとも、ITによって何を実現させたいのか、その明確なビジョンを描こうとする経営者がどれだけいるだろうか? ビジョンを描こうとすらしない経営者に攻めや守りのIT投資の何たるかが語れるはずがない。 新規技術への投資はメーカーの中ではある程度行なわれているだろうが、ビジネス側がそういった新しいテクノロジーを積極的に採用するとも思えない。 ITで何を実現したいのか明確でなければ他に先んじて新しいテクノロジーを導入する動機など生まれるはずも無いのだ。

何も難しいことを言っているわけではない。今や、PCやネットワークをまったく使ってない企業の方が珍しいだろうし、社員数4,5人程度であっても簡易なPBXを使っている企業も多いはずだ。携帯電話だって使っているかもしれない。 必要なのはそれらを精査することだ。それらを使って今どんな作業をしているのか、またそれらを使わずにどんな作業をしているのか、そしてそれはキチンと効率化されているのかどうか、しっかり見つめなおすべだし、それを評価できるような人材を雇用するなり育てるべきなのだ。そして、ある程度以上の規模を持つ企業ならばCIOを積極的に設置することでIT化と経営の親和性を格段に上げることもできるはずだ。

今、日本市場の中で行なわれているITへの投資の仕方、IT設備の使い方や刷新の仕方があまりにもヘボだからこういうレポート結果が出ているという事を肝に銘じてもらいたい。そして、そんなヘボな投資を繰り返したって日本経済は世界の中で大きな位置を占めてきたし、今でも占めているんだという自負心を取り戻してもらいたいと思う。わたしたちが情報化のうまい使い手になった時、どれだけ日本経済は強くなってしまうのだろうかと、そんな楽観的な希望を感じる反面、日本人は頑固だからそうそう変われないよね、しゃーねーなーとも感じるのだ。

ターボリナックスのInfiniTalk

ターボリナックスがAsteriskベースのIP-PBXソフトウェア InfiniTalk を2007年6月にリリースする。
http://www.turbolinux.co.jp/infinitalk/

・ Turbolinux 10 server 41,790円
・ Turbolinux 10 server x64 edition 62,790円
・ InfiniTalk (10ユーザーライセンス) 198,000円
・ IP電話IP NETPHONE S 37,800円 (InfiniTalkカタログに記載の価格)
・ InfiniTalk IIVR+ (外線1チャネル) 48,000円

オプションのIVRは除いたとして、基本セットに電話機10台、サーバー込みで100万円を切る値段になるようだ。サポートをどこまで受けるかや、外線のインターフェースをどうするか、またIVR等のオプションによってさらに追加コストが発生することになる。Turbolinuxは従来の3分の1の導入コストを謳っている。 NTTデータが発表した astima VS-1601AS はオープン価格との事なので価格の比較はできなかったが、そのサービスの提供の仕方の違いが非常に興味深かった。方や、元々フリーなLinuxサーバーを販売してきた会社らしく、フリーなAsteriskも同様な思想で販売しようとしている、方やNTTグループ企業らしい組み込みパッケージでの販売となっているようだ。

この界隈には疎いので所詮Webで拾える程度の情報しか得られないが、ユーザー数をライセンス契約で区切ったり、オプショナルな機能に課金したりするTurbolinuxの手法は少々旧態依然としたものにも見える。あえて言うなら従来のPBX主装置の販売形態と大差なく、価格での差異化のみに焦点を当て過ぎてしまうのではないかという危惧を感じるのだ。ビジネスとしてAsteriskを扱う際、どのように利益を確保するのか、TurbolinuxとNTTデータの答えの差異の行く末はもう少し見守る必要がありそうだ。

Asterisk製品は今後ますます中小規模オフィスのPBX市場を席巻することになるだろう。既存のPBXベンダーの中にはすでに小規模システムの販売をやめてしまった所もある。利益率の大きい大規模システムにフォーカスして無理な価格競争を避けたいというのが本音だろう。Asteriskが大規模導入に十分耐えられるようになるにはまだ時間がかかると私は見ているが、しかし着実にその適応範囲を伸ばしてくるのは間違いない。その時までにPBXベンダーのうちの何社がそれに対抗しうる施策を得られるのだろうか?

報道へのリンク

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0705/15/news069.html
http://japan.zdnet.com/oss/story/0,3800075264,20348891,00.htm

http://japan.cnet.com/release/story/0,3800075553,00018112p,00.htm
InfiniTalkでダイレクトマーケティング。いろいろな展開を考えているようだ。

2007年5月17日木曜日

テレコムに期待されることって結局はディスカウントだけなんかいね

電話だけに限らずとも、テレコム製品やサービスは押しなべて枯れた存在だ。交換手が手動で接続先にジャックを刺していた時代から、クロスバー自動交換機が現れたあたりの頃ならまだまだ色んな期待をされ、目新しさもあったかも知れない。しかし、それがTDMによるデジタル化を経て、VoIPへ、だのなんだのと言ったところでどれだけの新規性とインパクトをユーザーにもたらしたのか、はなはだ疑問である。要するに機構や仕組みをいくら挿げ替えても、デバイスが刷新されても、音声伝送という基本サービスそのものに誰も目新しさを感じていないのだ。新しい技術を導入したところで、それで実現できるのはすでに見知ったおなじみの物では致し方ない。

社内ITの愚痴としてよく聞かれる話の一つに、障害時のプレッシャーの違いというのがある。PCやネットワークがらみで障害が起こった時と、電話や音声サービス周りで障害が起こった時とでは、ユーザーの怒り方が違うというのだ。電話はいつ何時でも繋がって当たり前、それが繋がらないなんてふざけるな!という事なのだろう。そうはいっても障害ぐらい起こるのだ。特にVoIP機器はまだまだ発展途上であって、従来の枯れたTDMシステムと比べれば多くの問題を抱えている。しかし、そんな機構の違いなどユーザーにとって知ったことではない。 NTT東日本のひかり電話サービスの大規模障害もその一つではないだろうか? あの時、当然だがインターネット接続もダウンしていたのだが、ことさらに電話サービスが止まったことを強調されていると感じたのは私だけだろうか?
110番や119番なども含め、ライフラインとして電話が重要なインフラであるからこそ、繋がって当たり前でなければ困るし、障害時に強く非難されもするのだ。しかし、それだけの品質を維持していくためにはそれ相応のコストが必要になることを忘れてはならない。

マイラインが始まり、様々な規制緩和の結果、電話料金はかなり安くなった。さらにネットを使った様々なサービス、Skypeやjajahなどなど、によって集金構造は劇的な変化を見せている。携帯電話の値下げ競争も今日に始まったことではない。各社とも通話サービスなどそっちのけでWebやFelicaなど副次的サービスの充実に血道を上げているし、モバイルの世界でもネットを使った無料通話サービスが本格化するのはすぐだ。PBXベンダーもAsteriskに脅威を感じているだろうし、ビデオ会議システムはIMツールに取って代わられないように必死だろうし・・・

そして、それらすべての流れに共通するのは「音声通話サービスの無料化、または大幅な低価格化」に他ならないのだ。
音声通話に対していかに金を払わずに済ませるか、それがビジネス側やコンシューマーの要求だ。それを実現させるために私たちテレコム屋は己の牙城であった音声通話システムをネットワークサービスの一部門に矮小化せざるを得ないし、すでにそれが規定路線なのだ。インフラは誰か儲かってる人にアレしてもらって・・・

2007年5月11日金曜日

今更だがjajahの定点観測をしてみる

電話会社による通話料ビジネスがいずれ終焉を迎える事になるのは最近のトレンドから考えると避けられないように見える。通話品質や接続性への保証を担保とする通話料や回線料を取り続けるビジネスも最終的にはなくなるのかも知れない。だが、その先にある懸念としてわたしが感じるのは、いったい誰がこの膨大な音声通話用のバックボーンを支えるのかという点と、従来のアナログ/デジタル回線のインターフェースに準拠して作られてきた機器がゴミくずになるかもしれないという2点だ。
ネットで処理すれば無料という感覚はその影で稼動するシステムへの無理解から来ているのではないだろうか? それが電話であろうとネットであろうと、コミュニケーションシステムを支えるインフラに莫大な費用がかさむ事に変わりは無いのだ。もちろん、技術の進歩によってコストの大幅な圧縮はなされるだろうし、パケット通信はTDMよりも回線効率を高めやすいとしても、それによって基地局の設置やケーブル敷設の土木工事まで無くしてしまえるわけではない。通話料で回収できなくなった分は他に回すしかない。それが出来ないとなればインフラが崩壊してあらゆるサービスが止まらざるを得なくなるからだ。
JajahであろうとSkypeであろうと、その他雨後の竹の子のように出てきたあらゆるWebやインターネットベースの音声・映像コミュニケーションツールは、ネット回線というインフラの安さに寄って立っているに過ぎない。バックボーンがトラフィックの急増に耐えかねてそのコストを上げたり、固有のパケットに従量制課金を適用するなどすれば、そこで競争力を失ってしまうことは無いのだろうか?

従来のインターフェースが廃れてしまって困るのはメーカー側の視点でしかないが、こちらとしては困った問題でもあるし、ある種のチャンスでもある。次世代インターフェースのスタンダードを確保する競争が激化するかもしれない。
今は小回りの利くベンチャー系の企業が次々と新しいサービスを繰り出しては市場をひっくり返してやろうと虎視眈々と狙っている状況だ。
毎度のことだがこの手の目新しいニュースの中に日本企業の名はサッパリ上がってこない。一抹の不安と寂しさをおぼえるのはわたしだけではないだろう。



http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070511/270646/
WebベースIP電話サービスのJAJAH,Intelなどから2000万ドルを調達

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070109/258267/
二極化が進む今こそ電話サービスが面白い

http://www.jajah.com/
jajah

http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000055954,20323627,00.htm
「競合はSkypeでもキャリアでもない」--創業者が語る次世代VoIP「JAJAH」

2007年5月7日月曜日

IT業界のCO2排出量

http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20348196,00.htm
IT業界のCO2排出量は航空業界並み--米国調査

記事にもあるように、CO2の排出量うんぬんという視点での議論は私たちの業界内であまり活発でないように思う。確かにIT機器は多くの電力を消費しているし、発生する熱を下げるために膨大なエネルギーを使っている。オフィス内に沢山のPCがある場合と無い場合では、空調の設定温度も変わってくるはずだ。実際、週末の空調の効いていないオフィスの暑さは尋常ではない。マシンルームの中ともなればなおさらだ。機器を守るためには致し方ないとはいえ、真夏でもジャンパーが必要なほど冷え冷えしたマシンルームを持つ企業も珍しくない。環境問題は世界的にも注目度が高いだけに、法整備が進み規制が多くなって、今後ビジネスに影響が出てくるかもしれないなどとマイナスに捕らえるよりも、一足先にこの問題に解決を与え、新たなチャンスを掴めるように、各ベンダーは努力すべきだろう。